本試験問題と解答・解説


平成14年度第36回通関士試験解答
  

〔通関業法関係〕(時間45分)

〔解答と解説〕

〔記述式〕

第1問
(許可の基準)
正解
1 経営
2 資産
3 収支
4 通関業務
5 設備
6 人的
7 能力
8 社会的
9 営業所
10 通関士

参照条文
 1 通関業法第5条第1号(経営の基礎に関する基準)、通関業法基本通達5−1(「経営の基礎が確実であること」の意義)
 2 同法第5条第2号(人的構成に関する基準)
 3 同法第5条第4号(通関士の設置に関する基準)


第2問(更正に関する意見の聴取)
正解
1 他人
2 納税の申告
3 関税
4 解釈
5 増加
6 機会
7 通関手続
8 税関職員
9 従業者
10 立会い

参照条文
 1 通関業法第15条(更正に関する意見の聴取)
 2 同法第16条(検査の通知)



〔短答式〕

第1問(用語の意義)

正解 4

解説
(非該当=c、d)
 設問c及びdの手続は、倉庫業者、運送業者等により通関業務に先行して行われる手続であることから、通関業務に関連する業務(誰でもできる業務)とされている。《通関業法第7条》
(該当=a、b、e)
 設問a、b及びeの手続は、次の規定により「通関手続」とされ、その手続につき、その依頼をした者の代理をすることは「通関業務」とされている。《通関業法第2条第1号イ》 
 a 通関業法第2条第1号イの(1)の(二)(特例輸入者の承認申請手続)
 b 同法第2条第1号イの(1)の(三)(船用品(機用品)積込み承認申告手続)
 e 同法第2条第1号イの(1)の(四)(蔵入等承認申請手続)
  
第2問(通関業の許可)

正解 4

解説
(誤=c、e)
c及びe 設問のような趣旨の規定はない。
(正=a、b、d)
 a 通関業を営もうとする者は、その業に従事しようとする地を管轄する税関長の許可を受けなければならないこととされている。《通関業法第3条第1項》
 b 税関長が通関業の許可をしたときは、遅滞なく、その旨を公告(所定の事項を広く一般の人に知らせること)し、通関業務の依頼者の利便に供することとされている。《同法第3条第4項》
 d 弁護士がその職務として通関業務(不服申立ての代理)を行う場合には、通関業の許可を要しないこととされている。《同法第3条第5項》

第3問(欠格事由)

正解 1

解説
(該当=a、b、d)
 設問a、b及びdに掲げる者は、次の規定により、いずれも欠格事由に該当する者とされている。
 a 通関業法第6条第1号(成年被後見人及び被保佐人)
 b 同法第6条第3号(禁錮以上の刑に処せられた者で、処罰を受けた後所定の年数を経過しないもの)
 d 同法第6条第7号(懲戒免職処分を受けた者で、処分を受けた後所定の年数を経過しないもの)
(非該当=c、e)
 c 通関業法の規定に違反して通関業の許可を取り消された者であっても、その処分を受けた日から2年を経過すれば、欠格事由に該当する者ではなくなる。《同法第6条第6号》
 e 設問のような者を欠格事由に該当する者とする旨の規定はない。《同法第6条》

第4問(営業区域の制限)

正解 4

解説
(誤=4)
 通関業者は、通関業の許可に係る税関の管轄区域内(営業区域内)においてのみ、通関業務を営むことができるのが原則とされている。しかし、通関業法第9条ただし書に該当するときは、依頼者の利便を図るために、改めて通関業の許可を受けることなく、営業区域外において通関業務を行うことができる。《同法第9条》
(正=1、2、3、5)
 1 通関業の許可に地域限定の条件が付されている場合であっても、通関業法第9条ただし書に該当するときは、所定の手続を経て、営業区域外において通関業務を行うことができる。《同法第9条ただし書、同法施行令第2条》
 2 設問は、通関業者が営業区域外において通関業務を行う場合の手続の一例である。
 《同法施行令第2条》
 3 設問は、通関業法第9条ただし書の規定により、営業区域外において通関業務を行うことができる場合の具体例である。《同法第9条ただし書、通関業法基本通達9−1(1)》
 5 通関業者は、通関業の許可に係る税関の管轄区域内(営業区域内)においてのみ、通関業務を営むことができるのが原則である。《同法第9条本文》

第5問(許可の消滅及び許可の取消し)

正解 4

解説
(正=c、e)
 c 通関業の許可が消滅した場合で現に進行中の通関手続があるときにおいて、許可の消滅を理由に通関手続の処理を禁止することになれば、通関手続の円滑な処理が阻害されることになる。このため、依頼者の利便を考慮し、通関手続の円滑な進行を図るために、許可の消滅後においても、通関業者とみなされ、進行中の通関手続を処理することができることとされている。《通関業法第10条第3項》
 e 税関長が、通関業の許可の取消しをしようとするときは、処分の公正を期するために、審査委員の意見を聞かなければならないこととされている。《同法第11条第2項》
(誤=a、b、d)
 a 通関業者が通関業務を廃止(廃業)したときは、その許可を存続させることは適当でないので、廃業という事実の発生により、通関業の許可は消滅することとされている。《同法第10条第1項第1号》
 b 設問のような趣旨の規定はない。《同法第11条第1項各号》
 d 設問のような趣旨の規定はない。《同法第11条第1項本文》
(通関業の許可の取消し原因に該当するような事実が生じた場合に、税関長は、取消しの要否を検討することがあるとしても、必ずしも、許可の取消しをしなければならないこととはされていない。)

第6問(通関士の設置及び通関士の審査)

正解 3

解説
(正=b、c)
 次の規定により、いずれも正しい記述である。
 b 通関業法施行令第4条第2項(通関士の設置)
 c 同令第4条第1項(専任の通関士の設置)
(誤=a、d、e)
 a 通関士の設置を要する地域にある営業所においては、通関業の許可に貨物限定又は地域限定の条件が付されていない場合に、通関士の設置義務が免除されることはない。《通関業法第13条》
 d 通関士が通関業務に従事している営業所においては、その営業所が通関士の設置を要しない地域にある場合であっても、通関士に通関書類の審査をさせる義務が免除されることはない。《同法第14条かっこ書》
 e 通関士の設置を要しない地域にある営業所においては、通関業務の取扱件数により通関士の設置が必要になるということはない。《通関業法第13条》

第7問(通関士の義務)

正解 3

解説
(誤=b、d)
 b 通関士が退職等により通関士でなくなったとしても、守秘義務が免除されることはない。《通関業法第19条後段》
 d 税関長の承認を受けることにより名義貸しの禁止義務が解除されるとする旨の規定はない。《同法第33条》
(正=a、c、e)
 次の規定により、いずれも正しい記述である。
 a 同法第19条(秘密を守る義務)
 c 同法第20条(信用失墜行為の禁止)
 e 同法第20条かっこ書(信用失墜行為の禁止)

第8問(記帳、届出、報告等)

正解 3

解説
(誤=3)
税関では、通関士その他の通関業務の従業者の実態を常時把握しておく必要がある。
このため、これらの者に異動があったときは、そのつど異動の内容等所定の事項を、税関長に届出なければならないこととされている。《通関業法第22条第2項、同法施行令第9条第1項》
(正=1、2、4、5)
 次の規定により、いずれも正しい記述である。
 1 同法第22条第1項前段(記帳)、同法施行令第8条第1項(記帳)
 2 同法第22条第1項前段(記帳)、同法施行令第4項(追記)
 4 同法第22条第1項後段(保存)、同法施行令第3項(保存)
 5 同法第22条第3項(報告)、同法施行令第10条第1項第3号(定期報告書)

第9問(確認)

正解 2

解説
(通関士となることができない者=a、c) 
 次の規定により、いずれも通関士となることができない者である。
 a 通関業法第31条第2項第1号、同法第6条第2号(破産者であって復権を得ないもの)
 c 通関業法第31条第2項第1号、同法第6条第4号イ(関税ほ脱の違反行為があった日から2年を経過していないもの)
(通関士となることができる者=b、d、e)
 b 他の通関業者の通関業務に従事する通関士を自己の通関士として従事させるために税関長の確認を受けることはできる(実務上は、自己の通関業に従事させること(併任)について異議のない旨の承諾書を添えて確認を受けることとされている。)。《同法第31条第1項、通関業法基本通達31−1(3)》
 d 通関士となることについては、通関士としての従事年数に関する制限はない。《同法第31条》
 e 通関業務への従業禁止処分を受けたとしても、その処分を受けた日から2年を経過すれば、通関士となることができる。《同法第31条第2項第1号、第6条第6号(通関業務への従業禁止処分を受けた者)》

第10問(通関業者に対する監督処分)

正解 3

解説
(誤=3)
 税関長が通関業者に対して監督処分をしようとするときは、処分の公正を期するために、審査委員の意見を聞かなければならないこととされている。《通関業法第37条第1項》
しかし、設問のような趣旨(従業者の意見聴取)の規定はない。 
(正=1、2、4、5)
 次の規定により、いずれも正しい記述である。
 1 通関業法第34条第1項第1号(許可に付された条件違反)
 2 同法第34条第1項第1号(通関業法違反と監督処分の種類)
 4 同法第34条第1項第1号(通関業法違反と監督処分の種類)
 5 同法第34条第1項第2号(通関業者の責めに帰すべき理由があるとき)



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