本試験問題と解答・解説


平成12年度第34回通関士試験問題と解答


〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分)

【記 述 式】

第1問 輸出申告書の作成
別紙の仕入書及び下記事項により、「銅の線」の輸出申告書を作成しなさい。
なお、答案用輸出申告書への記入は、既に記入済みの欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。


  1. 統計品目番号は、別添1の「輸出統計品目表」(抜すい)を参照して記入し、統計品目番号が同一となるものがあるときは、輸出申告書の一欄にまとめる。
  2. 輸出申告書の一欄ごとの申告価格が20万円以下のものは、「統計品目番号」欄に×印を、また、「単位」欄及び「数量」欄については、正味数量に係るものを記入する。
  3. 別紙の仕入書に記載されている元素記号は、次のとおりである。
    Cu 銅     Ni ニッケル     Mn マンガン     Zn 亜鉛     Fe 鉄
  4. 別紙の仕入書に記載されている米ドル建価格の本邦通貨への換算は、別添2の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。
  5. この申告書の申告年月日は、平成12年10月10日とする。
  6. この申告書の審査を行った通関士は、「大蔵太郎」とする。
  7. 押印を必要とする箇所には、印を記入する。


(別 紙)

INVOICE


     Seller                   Invoice No. and Date
     OKURA TRADING CO., LTD.       OTC-1010  Oct. 7th, 2000
     1-1, 3 Chome, Kasumigaseki      Reference No. 
     Chiyoda-ku, Tokyo, JAPAN        Order No. SKT 00-1005

 Buyer
  CENTRAL TRADING CO., LTD.
  726 Central Avenue
  New York NY. 41020, U.S.A.
 Country of Origin:JAPAN
 L/C No.      Date
  TOKLC-072955   Sep.21st,2000
 Vessel or   On or about
  NIHON MARU Oct.14th,2000      
 Issuing Bank
  New York Bank
 From          Via
  Tokyo,JAPAN
 To
  New York,U.S.A.
 Other Payment Terms

Marks and Nos.   Description of Goods      Quantity   Unit Price       Amount
                                             (per kg)

              COPPER ALLOY WIRE
   〈CET〉

 SKT 00-1005   1.Cu 53.0% Ni 45.0% Mn 2.0%    N/W : 41kg    US$13.50     US$553.50
  NEW YORK     0.28mm diameter
 C/T NO.1-35   2.Cu 77.0% Ni 22.0% Mn 1.0%    N/W : 100kg    US$15.00      US$1,500.00
 MADE IN        0.30mm diameter
     JAPAN   3.Cu 85.31% Mn 11.7% Ni 2.49%   N/W : 121kg    US$13.50     US$1,633.50
              Fe 0.50% 0.23mm diameter
             4.Cu 95.0% Zn 5.0%          N/W : 80kg    US$17.20      US$1,376.00
              0.32mm diameter
             5.Cu 88.0% Ni 11.0% Mn 1.0%    N/W : 120kg   US$14.00      US$1,680.00
              0.21mm diameter
             6.Cu 97.0% Zn 3.0%          N/W : 135kg   US$15.80      US$2,133.00
              0.22mm diameter



 TOTAL:35 Cartons                      N/W : 597 kg FOB TOKYO       US$8,876.00

                                  OKURA TRADING CO., LTD.

                                   (signature)



別添1 輸出統計品目表(抜すい)

   *** 割 愛 ***


別添2 実勢外国為替相場の週間平均値
     (1米ドルに対する円相場)

期   間 週間平均値
平成12年9月10日〜平成12年9月16日
平成12年9月17日〜平成12年9月23日
平成12年9月24日〜平成12年9月30日
平成12年10月1日〜平成12年10月7日
¥119.00
¥117.50
¥118.00
¥120.50



第2問 輸入(納税)申告書の作成

別紙の仕入書及び下記事項により、「紅茶」を直輸入する場合の輸入(納税)申告書を作成しなさい。
なお、答案用輸入(納税)申告書への記入は、既に記入済みの欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。


  1. 申告書中段の番号、統計細分、税表細分及び税率は、別添1の「実行関税率表」(抜すい)を参照して記入する。
  2. 別紙の仕入書に記載されている英ポンド建価格の本邦通貨への換算は、別添2の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。
  3. 別紙の仕入書に記載されている紅茶はいずれも飲用に直接包装されたものであり、その一包装当たりの数量は、正味の数量である。
  4. イギリスは、協定税率適用国である。
  5. 紅茶には、消費税4%及び地方消費税(消費税額の25%)が課されるものとする。
  6. この申告書の申告年月日は、平成12年10月5日とする。
  7. この申告書の審査を行った通関士は、「大蔵太郎」とする。
  8. 押印を必要とする箇所には、印を記入する。


(別紙)

INVOICE


     Seller                   Invoice No. and Date
     WORLD TEA COMPANY LTD.       WT-20-1257  Sep. 9th, 2000
     Great Cambridge Road,          Reference No.
     Middlesex EN2, U.K.
 Buyer
  OKURA TRADING INC.
  1-1, 3 Chome Kasumigaseki
  Chiyoda-Ku, Tokyo, JAPAN
 Country of Origin:United Kingdom
 L/C No.  Date
  AB-1357  Aug. 29th,2000
 Vessel or   On or about
  OKURA MARU Sep.12th,2000      
 Issuing Bank
  OKURA BANK LTD.
  Tokyo
 From          Via
  Liverpool
 To
  Tokyo,JAPAN
 Other Payment Terms

Marks and Nos.  Description of Goods   Quantity   Unit Price     Amount

   〈OT〉
               1. BLACK TEA        5,000 Tins   £ 0.70       £ 3,500.00
 TOKYO           (25g Tin)
 C/T No.1-275     2. BLACK TEA        10,000 Packs £ 1.00       £ 10,000.00
                (2g Tea Bag)       (20 Tea Bags/Pack)
               3. BLACK TEA         500 Packs  £ 20.00       £ 10,000.00
                (5.5kg/Pack)

         Total : 275 Cases                       CIF TOKYO   £ 23,500.00

  B/L No. 200-1234
                              WORLD TEA COMPANY LTD.

                              (Signature)  
              

別添1 実行関税率表(抜すい)

   *** 割 愛 ***

別添2 実勢外国為替相場の週間平均値
      (1英ポンドに対する円相場)
期   間 週間平均値
平成12年9月3日〜平成12年9月9日
平成12年9月10日〜平成12年9月16日
平成12年9月17日〜平成12年9月23日
平成12年9月24日〜平成12年9月30日
¥160.50
¥160.00
¥161.00
¥160.50




【短 答 式】 ―― 各問題3点 ――
 (解答は別紙の答案用紙に記入しなさい。)

第1問 次の記述は、関税の納付に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

  1. 一品目で関税及び内国消費税が課されるものについては、関税額と内国消費税額を合計して納付書に記載することができる。
  2. 納付書は、税関職員が作成したものでなければ、関税の納付に際し使用することはできない。
  3. 関税の担保として国債を提供した者は、その国債をもって関税の納付に充てることができる。
  4. 関税定率法第15条各号(特定用途免税)の規定により関税の免除を受けた貨物が、当該各号に掲げる用途以外の用途に供したことにより納付すべき関税の納付は、納税告知書により行う。
  5. 金銭をもって関税を納付しようとする者は、日本銀行(国税の収納を行う代理店を含む。)以外には、納付することはできない。


第2問 下表の事例について、納税後、関税法の規定に基づき更正の請求を行うこととなった。関税更正請求書に記載すべき当該請求により減額する関税額を計算し、その額をマークしなさい。

    品     名 パイナップル
更正の請求前の課税標準
更正の請求前の税率
 876,932円
     17%
更生後の課税標準
更生後の税率
 787,153円
    7.2%


第3問 次の記述は、輸出通関に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

  1. 貨物を外国貿易船に積み込んだ状態で輸出申告をすることにつきあらかじめ税関長の承認を受けた場合には、当該貨物について税関の検査が免除される。
  2. コンテナーに詰めたまま輸出申告をし、輸出の許可を受ける場合において、税関長が認めた公認検数検定機関による品名、数量等の確認及び施封が行われた輸出貨物については、税関の検査は見本品により行うこととされている。
  3. 輸出の許可後において積込港を変更しようとする場合には、改めて輸出申告をしなければならない。
  4. 無償で輸出される貨物について輸出申告をする場合には、輸出申告書に当該貨物の価格の記載を要しない。
  5. 輸出申告は、貨物の品名、数量、価格等を記載した輸出申告書を税関長に提出することにより行わなければならないが、当該貨物が旅客又は乗組員の携帯品である場合には、口頭で申告することができる。


第4問 次に掲げる書類のうち、関税法の規定により課税標準の決定のための書類とされているもの以外のものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

  1. 仕入書
  2. 契約書
  3. 運賃明細書
  4. 保険料明細書
  5. 原産地証明書


第5問 関税定率法第4条第1項(課税価格の決定の原則)の規定により、次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 輸入者M(買手)は、輸出者X(売手)から事務用機器300台を輸入する。
  2. 当該事務用機器の販売価格はCIF価格で、1台当たり80,000円である。
  3. Xは、取引数量を基準として、取引ごとに次のような数量値引きを与えている。      
    取引数量 値引率
    1台から99台   0%
    100台から499台   5%
    500台以上  10%
  4. Mは、当該事務用機器の代金として、既に10,000,000円を支払っており、残金は貨物引取り後に送金することとしている。


第6問 関税定率法第4条第1項(課税価格の決定の原則)の規定により、次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)から冷凍食品を継続的に輸入している。なお、輸入取引の条件として、当該輸入貨物の容器はMがXへ無償提供している。
  2. Mは、Xから委託されて、当該冷凍食品の国内販売のための広告宣伝を行った。この広告宣伝の費用はXが負担することとなっており、今回輸入する冷凍食品の仕入書価格(FOB価格)は、当該広告宣伝費用8,000,000円を控除した残額の12,000,000円となっている。
  3. 輸出港から輸入港までの運賃1,000,000円及び保険料50,000円は、Mが負担している。
  4. 今回輸入する冷凍食品のために、Mは、A国の商社Bに対し、容器の代金として630,000円を支払った。


第7問 関税定率法第4条の3第1項(国内販売価格に基づく課税価格の決定)の規定により、次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 輸入者M(買手)は、輸出者X(売手)から革靴1,000足を輸入した。
  2. 課税物件確定の時の属する日における輸入貨物と同種の貨物に係る国内販売の状況は次のとおりである。
    単  価 単価ごとの総販売数量
    9,000円      200足
    10,000円      300足
    11,000円      500足
  3. 輸入貨物と同類の貨物で輸入されたものの国内販売に係る通常の利潤及び一般経費は、1,500,000円である。
  4. 輸入貨物と同種の貨物に係る輸入港に到着するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用は、900,000円である。
  5. 輸入貨物と同種の貨物に係る輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用は、500,000円である。
  6. 輸入貨物と同種の貨物に係る本邦において課された関税及び消費税は、1,200,000円である。


第8問 下表のA欄に掲げる物品をB欄に記載されているように処理又は加工し、C欄に掲げる物品とした場合、C欄の物品がA欄の物品と同じ関税率表の類に分類されるものの組合わせはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。
A  欄 B  欄 C  欄
a 生鮮のあじ
   (第3類)
三枚におろす あじのフィレ
b ごま
   (第12類)
しぼる ごま油
c 紙
   (第48類)
印刷する カレンダー
d 未記録磁気テープ 
   (第85類)
 データを記録する 音楽テープ
e 眼鏡用ガラスレンズ 
   (第90類)
 フレームを付ける  眼鏡(フレーム付き)

  1. a,b,d
  2. a,d,e
  3. b,c,d
  4. b,c,e
  5. c,d,e


第9問 次の記述は、関税率表の所属の決定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

  1. プラスチック製のスーツケースは、プラスチック製品として第39類に分類される。
  2. 刃の部分が卑金属製、柄の部分が木製のテーブルナイフは、卑金属製のテーブルナイフとして第82.11項に分類される。
  3. 第71類の貴金属は、金及び白金をいい、銀を含まない。
  4. 重量比で、ライ麦(第10.02項)50%とオート(第10.04項)50%から成る混合物は、ライ麦に重要な特性があると認められるので、第10.02項に分類される。
  5. 第61類及び第62類の衣類には、構成材料を問わず、すべての衣類が分類される。


第10問 輸入物品について、それぞれ下表の左欄に掲げる相互に関連する二つの関税率表の項のいずれに分類すべきかを決定する場合において、その分類を決定する要素として、同表右欄の要素が適切なものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。
関税率表の項 要  素
1 第10.06項(米)
  第19.04項(穀物の調製品)
粉砕の程度
2 第20.09項(果実のジュース)
  第22.02項(飲料)
砂糖の添加の有無
3 第17.04項(砂糖菓子)
  第18.06項(チョコレート)
ココアの有無
4 第52.08項(綿織物)
  第63.03項(カーテン)
模様の有無
5 第69.13項(陶磁製の小像)
  第97.06項(こっとう)
用途

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