本試験問題と解答・解説


平成11年度第33回通関士試験問題と解答
 

〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分)

注意事項
  1. 問題の解答は、別紙の答案用紙に記入して下さい。
  2. 答案用紙に氏名、受験地及び受験番号を忘れずに記入して下さい。
  3. 問題条及び答案用紙の再交付はいたしません。

【記 述 式】
(解答は別紙の答案用紙に問題別に記入しなさい。)

第1問 輸出申告書の作成

別紙の仕入書及び下記事項により、「化粧品類」の輸出申告書を作成しなさい。
なお、答案用輸出申告書への記入は、既に記入済の欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。

  1. 統計品目番号は、別添1の「輸出統計品目表」(抜すい)を参照して記入し、統計品目番号が同一となるものがあるときは、輸出申告書の一欄にまとめる。
  2. 別紙の仕入書に記載されている米ドル建価格の本邦通貨への換算は、別添2の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。
  3. 仕入書に記載されているI.I./Wは、内装ともの重量表示である。
  4. この申告書の申告年月日は、平成11年10月12日とする。
  5. この申告書の審査を行った通関士は、「大蔵太郎」とする。
  6. 押印を必要とする箇所には、印を記入する。


INVOICE


     Seller                   Invoice No. and Date
     OKURA TRADING CO., LTD.       OTC-1010  Oct. 7th, 1999
     1-1, 3 Chome, Kasumigaseki       Reference No.
     Chiyoda-ku, Tokyo, JAPAN        Order No. SKT 99-1005

 Buyer
 SKT TRADING CO., LTD.
 1111 Third Avenue Suite 1180
 Seattle, Washington, 95101 U.S.A.
 Country of Origin:JAPAN
 L/C No.      Date
 TOKLC-072955    Sep.21st,1999
 Vessel or   On or about
 NIPPON MARU  Oct.16th,1999      
 Issuing Bank
 Seattle International Bank
 From          Via
 Tokyo,JAPAN
 To
 Seattle,U.S.A.
 Other Payment Terms

Marks and Nos.  Description of Goods  Quantity  Unit Price    Amount
                               Pcs      (per Piece)

              COSMETIC
   〈SKT〉

 SKT 99-1005   1.PERFUME          12 C/T   1,200  US$16.00   US$19,200.00
  SEATTLE      Content:30 ml (N/W 36 kg I.I./W 144 kg)
 C/T NO.1-104  2.HAIR LIQUID        30 C/T   1,500  US$4.50    US$6,750.00
 MADE IN        Content:120 ml (N/W 180 kg I.I/W 450 kg)
     JAPAN   3.POMADE          50 C/T   2,500  US$5.00    US$12,500.00
               Content:70 g (N/W 175 kg  I.I/W 525 kg)
          4.TOOTHPASTE       10 C/T  2,000    US$1.20    US$2,400.00
             Content:50 g (N/W 100 kg I.I/W 110 kg)
             5.TOILET WATER      2 C/T   100    US$11.00   US$1,100.00
              Content:120 ml (N/W 12 kg I.I/W 30 kg)


 TOTAL:104 Cartons 7,300 Pcs                FOB TOKYO  US$41,950.00
 (N/W 503 kg I.I/W 1,259 kg)                 OKURA TRADING CO., LTD.

                                   (signature)             



別添1 輸出統計品目表(抜すい)

*** 割 愛 ***


別添2 実勢外国為替相場の週間平均値
     (1米ドルに対する円相場)

期   間 週間平均値
平成11年9月12日〜平成11年9月18日
平成11年9月19日〜平成11年9月25日
平成11年9月26日〜平成11年10月2日
平成11年10月3日〜平成11年10月9日
¥120.50
¥118.50
¥119.00
¥120.00



第2問 輸入(納税)申告書の作成
 別紙の仕入書及び下記事項により、「ワイン」を直輸入する場合の輸入(納税)申告書を作成しなさい。
 なお、答案用輸入(納税)申告書への記入は、既に記入済の欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。
 

  1. 申告書中段の番号、統計細分、税表細分及び税率は、別添1の「実行関税率表」(抜すい)を参照して記入する。
  2. 酒税の種別及び税率は、別添2の「酒税率表」(抜すい)を参照して記入する。
  3. 別紙の仕入書に記載されているフランス・フラン建価格の本邦通貨への換算は、別添3の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。
  4. 別紙の仕入書に記載されているワインの性状等は、以下のとおりである。
     
    1. 発泡性は有していない。
    2. 強化ぶどう酒ではない。
    3. 甘味果実酒ではない。

  5. ビンには、ラベルが添付されており、その内容等は以下のとおりである。
     
    1. 当該ラベルには、我が国の法律等に基づき表示することが義務付けられている事項は記載されていない。
    2. 当該ラベルは、輸入者によって無償提供されたものであり、その価格は1枚が8円(送料を含む)である。
    3. 輸入者は、今回輸入するワインに添付されているラベル(3,600枚)のみを無償提供している。

  6. フランスは、協定税率適用国である。
  7. ワインには、消費税4%及び地方消費税(消費税額の25%)が課されるものとする。
  8. この申告書の申告年月日は、平成11年10月14日とする。
  9. この申告書の審査を行った通関士は、「大蔵一郎」とする。
  10. 押印を必要とする箇所には、印を記入する。



INVOICE


     Seller                   Invoice No. and Date
     WORLD WlNE S.A.             WW 99-1026  Sep. 8th, 1999
     16 Avenue Hoche             Reference No.
     75008 Paris, FRANCE
 Buyer
 TOKYO ENTERPRISE CO.,LTD.
 1-1, 3 Chome Kasumigaseki
 Chiyoda-Ku, Tokyo, JAPAN
 Country of Origin:FRANCE
 L/C No.  Date
  DB-1267  Sep.2nd,1999
 Vessel or   On or about
 SAKURA MARU  Sep.11th,1999      
 Issuing Bank
 DAI-NIPPON BANK, LTD.
 TOKYO
 From          Via
 Marseille, FRANCE
 To
 Tokyo,JAPAN
 Other Payment Terms

Marks and Nos.  Description of Goods  Quantity  Unit Price    Amount
                                      (per Piece)
                                         F.Fr.       F.Fr
  〈TEC〉       WHITE WINE       300 Cases     330.00      99,000.00
 TOKYO        " MUSCADET "     (3,600 Bottles)   
 C/S N0.1-300    Content : 750 ml      
 MADE IN       Alc. : 12%
 FRANCE       
                                                           
 
                      TOTAL : 300 Cases    CIF TOKYO
                                               F.Fr. 99,000.00
  B/L No. JPS-56341
 
                              WORLD WINE S.A.
                              (signature)                      
 

別添1 輸出統計品目表(抜すい)

   *** 割 愛 ***

別添2 酒税率表(抜すい)

酒類 税率
酒類、品目及び級別 区分(注1) 税額(1キロリットル当たり)
果実酒類
1 果実酒
2 甘味果実酒

(1) 13度未満
(2) 13度以上
56,500円
98,600円
98,600円に、12度を超える1度ごとに8,220円を加えた金額
ウイスキー類 (1) 40度以上41度未満
(2) 41度以上
(3) 40度未満38度以上
(4) 38度以上
409,000円
409,000円に、40度を超える1度ごとに10,225円を加えた金額
409,000円から、40度を下る1度(注2)ごとに10,225円を引いた金額
378,325円
スピリッツ類 (1) 38度未満
(2) 38度以上
367,188円
367,188円に、37度を超える1度ごとに9,924円を加えた金額
リキュール類 (1) 13度未満
(2) 13度以上
119,088円
119,088円に、12度を超える1度ごとに9,924円を加えた金額

 (注1)・・・特に規定のない限り、アルコール度数による区分である。
 (注2)・・・1度未満の端数があるときは、その端数は1度とみなす。

別添3 実勢外国為替相場の週間平均値
     (1フランス・フランに対する円相場)

期   間 週間平均値
平成11年9月12日〜平成11年9月18日
平成11年9月19日〜平成11年9月25日
平成11年9月26日〜平成11年10月2日
平成11年10月3日〜平成11年10月9日
¥21.00
¥19.00
¥20.00
¥22.00



【短 答 式】―― 各問題3点 ――
 (解答は別紙の答案用紙に記入しなさい。)

第1問 次に掲げるもののうち、関税の納付に使用することができるものはどれか。
一つを選び、その番号をマークしなさい。
 
  1. 社 債
  2. 収入印紙
  3. 受取人を指定していない郵便普通為替証書
  4. 金の地金
  5. 株 券


第2問 下表の経緯で、輸入許可後に修正申告を行い関税額519,500円を納付することとなった場合において、当該関税額に併せて納付すべき延滞税の額を計算し、その額をマークしなさい。
なお、延滞税の税率は年7.3%、1年は365日として計算しなさい。

平成11年3月1日 輸入(納税)申告の日
平成11年3月2日 輸入許可の日
平成11年3月5日 保税蔵置場から貨物を搬出した日
平成11年3月26日 修正申告する旨を税関に意思表示した日
平成11年3月31日 修正申告及び税額納付の日


第3問 次の記述は、輸出通関に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

  1. 輸出の許可後において積み込もうとする船舶が変更された場合には、改めて輸出申告を行わなければならない。
  2. 輸出通関に係る包括事前審査の有効期間は、3年間である。
  3. 輸出申告に際し税関に提出する仕入書は、当該申告に係る貨物の仕出人が署名したものでなければならない。
  4. 輸出申告は、輸出しようとする貨物が船舶又は航空機に積み込まれる場所を所轄する税関長に対して行わなければならない。
  5. 輸出申告について、本船扱いは認められていない。


第4問 下表の左欄に掲げる語句は、輸入通関に関するものであるが、右欄に掲げる語句のうち、最も関係が深いものはどれか。それぞれ一つを選び、その記号をマークしなさい。

 1 輸入申告に際して必要な書類  A 船荷証券
 B 積荷目録
 C 仕入書
 2 税関において徴収しない税  A 揮発油税
 B 航空機燃料税
 C 石油ガス税
 3 臨時開庁の承認申請を要しない事務  A 外国貨物の積戻し申告の許可に係る事務
 B 保税運送の承認に係る事務
 C 執務時間外の貨物の積卸しの許可に係る事務
 4 輸入申告が不要なもの  A 郵便物
 B 入国者が別送して輸入する自動車
 C 課税価格の総額が一万円以下のもの
 5 関税定率法第21条第1項(輸入禁制品)に規定する輸入禁制品でないもの  A 商標権を侵害する物品
 B 刃渡り15センチメートル以上の刀
 C 変造された貨幣


第5問 輸入者M(買手)は、次の条件により、A国の輸出者X(売手)から紳士服1.000着を3回に分割して輸入する契約を締結した。
 当該契約に基づき、1回目に400着を輸入する場合の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 契約価格はFOB価格で、一着当たり5,000円である。
  2. Xは、当該輸入貨物に使用する裏地をA国のBから購入するが、当該裏地の費用(1,000着分300,000円)は、Mが直接Bに支払うこととなっている。
  3. Mは、自己のために、A国の検品会社Cに出荷の際の検品を依頼しており、当該検品に要する費用(1,000着分、100,000円)は、Mが負担することとなっている。
  4. 1回目の輸入に要する輸出港から輸入港までの運賃(200,000円)及び保険料(10,000円)は、Mが負担することとなっている。
  5. 上記の者のいずれの間にも、特殊関係はない。


第6問 次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 本邦の機械メーカーである輸入者M(買手)は、B国のCの仲介により、B国の輸出者X(売手)から特殊機械を輸入することとなった。
  2. 当該特殊機械の契約価格は、CIF価格19,000,000円である。
  3. 当該特殊機械は、組み立てずに輸入し、輸入の許可を受けた後にXの専門家により組み立てられ、併せて、当該特殊機械の操作方法等の技術指導も行われることとなっている。
    なお、当該組立て及び技術指導に要する費用は、それぞれ700,000円及び300,000円であり、これらの金額は上記の契約価格には含まれていない。
  4. Mは、Cに対し仲介料として600,000円を支払うこととなっている。
  5. Mは、CIF契約にも関わらず、本邦の保険会社との間に当該輸入貨物に係る海上保険契約を締結し、保険料として30,000円を支払った。
  6. 上記の者のいずれの間にも、特殊関係はない。


第7問 次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 輪入者M(買手)は、輸出者X(売手)から水産物を輸入するに当たり、輸入貨物代金(CIF価格10,000,000円)の2割を前払いし、残金を輸入貨物の本邦到着後に支払うこととしている。
  2. 前払金を支払うことによって前払金額の5%に相当する額を前払値引として認める旨の契約を締結しており、当該前払金(2,000,000円)は既に支払っている。
  3. Mは、残金の支払いに当たっては、前回輸入分のクレーム代金として、500,000円を差し引いた額を送金することとしている。
  4. 上記の者のいずれの間にも、特殊関係はない。


第8問 次の記述は、関税率表の所属の決定に関するものであるが、その記述の正しいものについては○欄を、誤っているものについては×欄を、それぞれマークしなさい。

  1. 鉄鋼製のボルト及びナットは、自動車に使用するものであっても、第15部注2に規定する「はん用性の部分品」に該当するので、第87類の自動車の部分品ではなく、第73類の鉄鋼製品に分類する。
  2. スパゲッティ(第19.02項)、粉チーズ(第04.06項)及びトマトソース(第21.03項)をスパゲッティ料理に使用するためのセットとして、小売用の紙箱に入れたものは、第19.02項に分類する。
  3. 1台の自転車を輸送のために便宜上10個の部分に分解し、一つの箱に入れたものは、自転車の部分品にそれぞれ分類する。
  4. 重量比で羊毛50%、ポリエステル50%から成る織物は、羊毛に重要な特性があると認められるので、羊毛製の織物として分類する。
  5. スキー靴は履物として第64類に分類されるが、アイススケートを取り付けたスケート靴は、運動用具として第95類に分類する。


第9問 次に掲げる物品のうち、関税率表第7類(食用の野菜、根及び塊茎)又は第8類(食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮)に該当するものについてはA欄を、第20類(野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品)に該当するものについてはB欄を、それぞれマークしなさい。

  1. 乾燥したくるみ(殻を除いたもの)
  2. パイナップルジュース
  3. 冷凍したそらまめ(水煮による調理をしたもの)
  4. 食酢により保存に適する処理をしたきゅうり
  5. マロングラッセ


第10問 下表の左欄に掲げる物品の関税率表の所属を決定する要件として同表の右欄のうち最も関係の深いものはどれか。それぞれ一つを選び、その記号をマークしなさい。

物    品 所属を決定する要件
 1 生鮮のグレープフルーツ  A 輸入の時期
 B 1キログラム当たりの課税価格
 C 1個当たりの重量
 2 重油  A 硫黄の含有割合
 B 引火点
 C 粘度
 3 履物  A 男子用又は女子用の区別
 B 寸法
 C 構成材料
 4 光ファイバーケーブル  A 長さ
 B 被覆の有無
 C 直径
 5 こっとう  A 作者
 B 価格
 C 製作後の年数


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