本試験問題と解答・解説


平成11年度第33回通関士試験問題と解答
〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分)
 

【記 述 式】
第1問(輸出申告書の作成)
模範解答(解答例)

  • 品名及び統計品目番号
    設問の輸出貨物は、「化粧品類」である。仕入書1.の香水(PERFUME)及び5.のオーデコロン(TOILET WATER)は、「香水類及びオーデコロン類」として「3303.00-000」に、2.のヘアーリキッド(HAIR LIQUID)及び3.のポマード(POMADE)は、「その他の頭髪用の調整品」として「3305.90-000」に、4.のねり歯磨き(TOOTHPASTE)は、「歯磨き」として「3306.10-000」にそれぞれ分類される。

  • 申告価格
    輸出申告価格は、関税法施行令第59条の2第2項の規定により、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(FOB価格)とされており、また、その価格が外国通貨により表示されている場合における本邦通貨への換算については、同条第3項、関税定率法第4条の7及び同法施行規則第1条の規定により、輸出申告の日(設問では平成11年10月12日)の属する週の前々週の実勢外国為替相場の週間平均値によることとされている。このため、当該輸出申告価格に適用される1米ドル当たりの換算レートは119.00円となる。

  • 計算例
    仕入書1.+ 仕入書5.
    (19,200.00 + 1,100.00)米ドル × 119.00 = 2,415,700円
    仕入書2.+ 仕入書3.
    (6,750.00 + 12,500.00)米ドル × 119.00 = 2,290,750円
    仕入書4.
              2,400.00米ドル × 119.00 =  285,600円

第2問(輸入申告書の作成)
模範解答(解答例)

  • 品名、関税率表番号及び統計細分
    設問により、輸入貨物は、「ぶどう酒」として「2204.21-020」に分類される。

  • 申告価格
    輸入申告価格は、関税定率法第4条から第4条の8までの規定により決定することとされている。価格が外国通貨により表示されている場合における本邦通貨への換算については、関税定率法第4条の7及び同法施行規則第1条の規定により、輸入申告の日(設問では平成11年10月14日)の属する週の前々週の実勢外国為替相場の週間平均値によることとなっている。このため当該輸入申告価格に適用される1フランス・フラン当たりの換算レートは20.00円となる。また、当該ワインのビンには送料を含め1枚8円の無償提供されたラベルが添付されていることから、同法第4条第1項第3号イの規定により加算する。

  • 関税率
    当該貨物の原産国であるフランスは、協定税率適用国であることから、基本税率及び協定税率を比較し、協定税率150.83円/リットルを適用する。

  • 酒税率
    酒税の種別及び税率は、設問のワインの性状等により、「果実酒類」の「果実酒」及び56,500円/キロリットルとなる。

  • 消費税率
    消費税4%及び地方消費税(消費税額の25%)が課される。

  • 計算例
    99,000.00フランス・フラン(CIF価格) × 20.00 = 1,980,000円
    8円 × 3,600本 = 28,800円(無償提供ラベル)
    1,980,00円 + 28,800円 = 2,008,800円(申告価格)
    0.75リットル × 3,600本 = 2,700.00リットル(関税の課税標準)
    2,700.00リットル × 150.83円/リットル = 407,241円(関税額)
    2.70000キロリットル × 56,500/キロリットル = 152,550円(酒税額)
    2,008,800円+407,200円+152,500円 = 2,568,500円(消費税課税標準額)
    2,568,000円 × 4% = 102,720円(消費税額)
    102,700円 × 25% = 25,675円(地方消費税額)

【短 答 式】
第1問(関税の納付手段)
正 解



<解 説>
関税の納付手段に関する問題である。関税の納付に使用できるものは、関税法第9条の4及び同法第77条第4項の規定に基づく証券をもってする歳入納付に関する法律第1条及び歳入納付に使用する証券に関する件第1条の規定により、受取人を指定していない郵便普通為替証書である。

第2問(延滞税額)
正 解

2,900円

<解 説>
延滞税額に関する問題である。延滞税は、関税法第12条の規定により、未納に係る関税額に対し、法定納期限の翌日から当該関税額を納付する日までの日数に応じ、年7.3%の割合を乗じて計算した金額に相当する延滞税を納付することとされている。本設問 の場合、未納に係る関税額519,500円に対し、1万円未満を切捨て、法定納期限は3月2日であることから、その翌日である3月3日から関税を納付する3月31日までの29日間に応じ、年7.3%の割合を乗じて計算した額に端数処理を施した2,900円となる。

第3問(輸出通関)
正 解



<解 説>
輸出通関に関する問題である。1は、関税法基本通達67−1−10の規定により、変更ができることから、2は、昭和54年7月6日付蔵関第747号の「包括事前審査制度について」の規定により、包括事前審査の有効期間は、2年を超えない期間とされていることから、4は、そのような規定はないことから、5は、関税法第67条の2第1項及び同法施行令第59条の3第1項第1号の規定により、認められることから、いずれも誤った記述である。これに対し、3は、同法第68条第1項及び同法施行令第60条の規定により、正しい記述である。

第4問(輸入通関)
正 解

1=C、2=B、3=C、4=A、5=B

<解 説>
輸入通関に関する問題である。1は、関税法第68条の規定により、輸入申告に際しては仕入書が、2は、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第2条の規定上その対象外であることから、航空機燃料税が、3は、関税法第98条第1項及び同法施行令第87条第1項の規定により、執務時間外の貨物の積卸しの許可に係る事務が、4は、同法第76条第1項の規定により、郵便物が、5は、関税定率法第21条第1項の規定上その対象外であることから、刃渡り15センチメートル以上の刀が、それぞれ最も関係が深いものである。

第5問(課税価格の決定)
正 解

2,330,000円

<解 説>
課税価格の決定に関する問題である。輸入貨物の課税価格は、関税定率法第4条第1項の規定により、原則として、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた時に、買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格(いわゆる現実支払価格)に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格(すなわち取引価格)となっている。本設問の場合、1により、契約価格は、FOB価格で1着5,000円であることから、400着分の現実支払価格は、2,000,000円となる。2については、関税定率法第4条第1項第3号イの規定により、400着分120,000円が加算される。3は、同法基本通達4−2の3(2)の規定により、算入しない。4については、同法第4条第1項第1号の規定により、運賃200,000円及び保険料10,000円が加算される。従って、課税価格は、現実支払価格2,000,000円に裏地の費用120,000円、運賃200,000円及び保険料10,000円を加算した2,330,000円となる。

第6問(課税価格の決定)
正 解

19,630,000円

<解 説>
課税価格の決定に関する問題である。2により、契約価格は、CIF価格で19,000,000円である。3は、関税定率法施行令第1条の4第1号の規定により、組み立て及び技術指導に要する費用は、現実支払価格に含まれない。4については、同法第4条第1項第2号イの規定により、仲介料600,000円が加算される。5については、同法第4条第1項第1号の規定により、保険料30,000円が加算される。従って、課税価格は、現実支払価格19,000,000円に仲介料600,000円及び保険料30,000円を加算した19,630,000円となる。

第7問(課税価格の決定)
正 解

9,900,000円

<解 説>
課税価格の決定に関する問題である。2及び3については、買手から売手に支払われる額は、CIF価格10,000,000円から当該価格の2割(2,000,000円)の前払金額の5%に相当する100,000円の前払値引及び前回輸入分のクレーム代金500,000円を差し引いた9,400,000円であるが、関税定率法施行令第1条の4及び同法基本通達4−2(3)ハの規定により、現実支払価格には、売手の債務の弁済の額を含むこととされていることから、当該クレーム代金は含まれることとなる。従って、課税価格は、貨物代金10,000,000円から前払値引100,000円のみを差し引いた9,900,000円となる。

第8問(関税率表の所属の決定)
正 解

1=○、2=○、3=×、4=×、5=○

<解 説>
関税率表の所属の決定に関する問題である。1は、第15部注2及び第17部注2(b)の規定により、第73.18項に分類されることから、2は、関税率表の解釈に関する通則3(b)の規定により、第19.02項に分類されることから、5は、第64類注1(f)の規定により、第95.06項に分類されることから、いずれも正しい記述である。これに対し、3は、関税率表の解釈に関する通則2(a)の規定により、完成した物品で、提示の際に分解してあるものは、部分品ではなく、完成品に含まれることから、4は、羊毛から成る織物は51類、ポリエステルから成る織物は54類又は55類に属するとみられる物品であるが、第11部注2(A)の規定により、数字上の配列において最後となる項に属するもののみから成る物品とみなしてその所属を決定することから、いずれも誤った記述である。

第9問(関税率表の所属の決定)
正 解

1=A、2=B、3=A、4=B、5=B

<解 説>
関税率表の所属の決定に関する問題である。1は、0802.32号に、2は、2009.40号に、3は、0710.29号に、4は、2001.10号に、5は、2006.00号に、それぞれ分類される。

第10問(関税率表の所属の決定)
正 解

1=A、2=B、3=C、4=B、5=C

<解 説>
関税率表の所属の決定に関する問題である。1は、0805.40号の規定により、輸入の時期が、2は、第27類の備考1(d)の規定により、引火点が、3は、第64類注等の規定により、構成材料が、4は、第85.44項及び第90.01項の規定により、被覆の有無が、5は、9706.00号の規定により、製作後の年数がそれぞれ関税率表の所属を決定する要件として最も関係が深いものである。



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