平成10年度第32回通関士試験問題と解答 〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分) |
【記 述 式】 |
第1問(輸出申告書の作成) |
模範解答の補足説明
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第2問(輸入(納税)申告書) |
模範解答の補足説明
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【短 答 式】 |
第1問(輸入貨物に係る適用法令の時期) |
正解 A=40,300円 B=329,300円 <解説> 輸入貨物に係る適用法令の時期に関する問題である。関税を課する場合に適用する法令は、関税法第5条本文の規定により、輸入申告の時に適用される法令によることとされている。ただし、同法第5条第2号の規定により、輸入申告がされた後輸入の許可がされる前に当該貨物に適用される法令の改正があった場合には、当該許可の日に適用される法令によることとなり、また、輸入の許可前における貨物の引取りの税関長の承認を受けて引き取られる貨物については、その承認がされる前に当該貨物に適用される法令の改正があった場合には、当該承認の日に適用される法令によることとなる。従って、Aについては、輸入申告後輸入許可までの間に法令の改正があったことから、適用法令は輸入許可の日に適用される法令となる。よって、適用税率は改正後の5.8%となり、696,000円の5.8%を計算すると40,368円、端数処理すると40,300円となる。Bについては、輸入の許可前における貨物の引取りの承認がされた後に法令の改正があったことから、適用法令は原則どおり輸入申告の時に適用される法令となる。よって、適用税率は改正前の12.5$! B!s$H$J$j!"2,635,000円の12.5%を計算すると329,375円、端数処理すると329,300円となる。 |
第2問(関税の確定及び納付) |
正解 ○=3、5 ×=1、2、4 <解説> 関税の確定及び納付に関する問題である。1は、関税法第12条第4項の規定により、延滞税の額が千円未満である場合は、当該延滞税を徴収しないこととなっていることから、2は、同法第13条の4の規定において準用する国税通則法第118条第1項の規定により、課税標準を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるときは、その端数金額は切り捨てることから、4は、税率は、原則として協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用することとされているが、協定税率はそれが暫定税率又は基本税率より低い場合に適用することとされ、設問においては、暫定税率を適用して計算すると関税額は5,900円となり、協定税率を適用して計算した関税額7,500円より低いため、暫定税率を優先して適用することから、いずれも誤った記述である。これに対し、3は、A及びBの修正申告前の関税額を端数処理せずに合算し、合算後端数処理した3,142,200円から同様に算出した修正申告後の関税額3,773,100円を差し引いた630,900円が納付すべき関税額となることから、5は、関税法第6条の2の規定により、いずれも正しい記述である。 |
第3問(輸出申告又は積戻し申告の手続) |
正解 ○=3、5 ×=1、2、4 <解説> 輸出申告又は積戻し申告の手続に関する問題である。1は、関税法施行令第59条の2第1項の規定により、輸出申告に記載すべき貨物の数量は、大蔵大臣が貨物の種類ごとに定める単位による当該貨物の正味の数量であることから、2は、同法施行令第58条の規定により、輸出申告書には、貨物の記号、番号を記載することとされており、コンテナーに貨物を詰めたままの状態で輸出申告を行う場合についてはその必要がないとの規定はないことから、4は、同法第75条の規定により、外国貨物の積み戻しは、同法第70条の規定による他の法令の規定により輸出に関しての許可・承認等を必要とする貨物については、その輸出申告の際、その旨の証明をしなければならないこととなっていることから、いずれも誤った記述である。これに対し、3は、同法施行令第59条の2第2項の規定により、5は、同法第68条第1項及び同法施行令第60条第3項第3号の規定により、いずれも正しい記述である。 |
第4問(過少申告加算税に係る加算税額) |
正解 1.=5,000円 2.=35,000円 3.=114,500円 4.=82,500円 5.=137,500円 <解説> 過少申告加算税に係る加算税額に関する問題である。納税申告をした後、その申告が適正でなかったため修正申告を行った場合、又は更正が行われた場合、関税法第12条の2第1項の規定により、当該修正申告又は更正により納付すべき税額を基礎として10%の過少申告加算税が課され、同法第12条の2第2項の規定により、修正申告又は更正により納付すべき税額(以前にされた修正申告又は更正に係る納付すべき税額がある場合には、その合計額)が、当初の納税申告に係る納付すべき税額と500,000円のいずれか多い金額を超えることとなった場合には、この超える部分に相当する税額の5%分が加算されることとなる。端数処理については、過少申告加算税の計算の基礎となる、修正申告又は更正により納付すべき税額が1万円未満の場合には、過少申告加算税は賦課されず、また、納付すべき税額に1万円未満の端数がある場合は、これを切り捨てる。次に、過少申告加算税額が5千円未満の場合はこれを徴収せず、また、過少申告加算税額に百円未満の端数がある場合は、これを切り捨てる。 設問における加算税の額は、1は、端数処理後の50,000円の10%を計算し5,000円となる。2は、端数処理後の350,000円の10%を計算し35,000円となる。3は、端数処理後の980,000円の10%を計算した98,000円に、修正申告により納付すべき税額985,000円が当初申告に係る税額655,000円か500,000円のいずれか多い金額、この場合655,000円を超えているので、超える 部分に相当する税額330,000円の5%の16,500円を加算し、114,500円となる。4は、端数処理後の750,000円の10%を計算した75,000円に、修正申告により納付すべき税額758,000円が当初申告に係る税額250,000円か500,000円のいずれか多い金額、この場合500,000円を超えているので、超える部分に相当する税額258,000円の端数処理後の250,000円の5%を計算した12,500円を加算し、87,500円となる。5は、1回目の修正申告に係る加算税額は、端数処理をした450,000円の10%を計算した45,000円に、2回目の修正申告に係る加算税額である端数処理をした750,000円の10%を計算した75,000円を加算し、さらに、2回の修正申告により納付すべき税額(450,000円+750,000円=1,200,000円)が当初申告に係る税額850,000円か500,000円 のいずれか多い金額、この場合850,000円を超えているので、超える部分に相当する税額350,000円の5%を計算した17,500円を加算し、合計で137,500円となる。 |
第5問(課税価格の決定) |
正解 5,400,000円 <解説> 課税価格の決定に関する問題である。輸入貨物の課税価格は、原則として、関税定率法第4条第1項の規定により、現実支払価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた取引価格によることとされている。設問においては、1及び2の記述により、10%の値引き後の取引価格である5,400,000円が現実に支払った価格となる。3の輸入許可後に行われる据付け費用は、同法施行令第1条の4第1号の規定により、課税価格には含まれず、4は、同条本文の規定により、現実支払価格には、買手により売手のために行われた当該買手の債務の全部又は一部の弁済の額を含むこととなっていることから、クレーム相当額の値引きがあっても現実支払価格に含まれる。従って、課税価格は、5,400,000円となる。 計算例 500,000円×0.9×12=5,400,000円 |
第6問(課税価格の決定) |
正解 11,720,000円 <解説> 前問同様、課税価格の決定に関する問題である。設問においては、1の記述によりCIF価格10,000,000円が計算の基礎となる。2の無償で提供した部分品は、関税定率法第4条第1項第3号イの規定により、輸送費用及び輸出諸経費は、同法基本通達4−11(5)ハの規定により、課税価格に算入される。3の工場から輸出港までの運賃は、同法第4条第1項第1号及び同法基本通達4−7(1)の規定により、課税価格に算入される。追加の加工賃については、買手が負担していないことから、課税価格には算入されない。従って、課税価格は、契約価格の10,000,000円に、無償提供した部分品、当該部分品の提供に要した輸送費用、同輸出諸経費及び工場から積出港までの運賃の額を加算し、11,720,000円となる。 計算例 10,000,000円+1,500,000円+100,000円+20,000円+100,000円=11,720,000円 |
第7問(課税価格の決定) |
正解 6,100,000円 <解説> 前問同様、課税価格の決定に関する問題である。設問の1により、契約価格はC&F価格5,000,000円である。2において、イの保険料は、関税定率法第4条第1項第1号の規定により、課税価格に算入される。ロは、同法施行令第1条の5第2項の規定により、当該貨物に係るデザイン等で本邦以外で開発されたものは、当該貨物の生産に関する役務に該当することから、課税価格に算入される。ハは、同法基本通達4−11(1)の規定により、我が国の法律等に基づき表示することとされている事項のみが表示されているラベルは課税価格に算入されない。ニは、同法基本通達4−2の3(2)の規定により、買手が自己のために行った検査費用で買手が負担する場合は課税価格に算入されない。従って、課税価格は、契約価格の5,000,000円に、イの保険料及びロのデザイン費用の額を加算し、6,100,000円となる。 計算例 5,000,000円+100,000円+1,000,000円=6,100,000円 |
第8問(関税率表の所属の決定) |
正解 A=1、3 B=2、4、5 <解説> 関税率表の所属の決定に関する問題である。2は、プラスチック製の板及びプラスチック製の窓枠が第39類のプラスチック製品に、プラスチック製のスーツケースが第42類の容器に、4は、クロセ編みのネクタイ及びメリヤス編みのカーディガンが第61類の編み物製衣類及びその付属品に、織物製の男子用スーツが第62類の織物製衣類に、5は、写真機及び映画用の撮影機が写真用・映画用機器に、写真用フィルムが第37類の写真用の材料に、それぞれ分類される。これに対し、1は、全て第16類の調製食料品に、3は、全て第48類の紙製品に分類される。 |
第9問(関税率表の所属の決定) |
正解 5 <解説> 前問同様、関税率表の所属の決定に関する問題である。1の自動車用のじゅうたんは、第57類のじゅうたんに、2の第71類の貴金属は、第71類の注4(a)の規定により、銀、金及び白金であることから、3の第20.09項のぶどうジュースと第22.04項のぶどう搾汁は、第20類注5の規定により、ぶどうジュースはアルコール分が全容量の0.5%以下のものとされていることから、4の野球用の革製グローブは、第42類の革製品に分類されることから、いずれも誤った記述である。これに対し、5の生きていない魚で食用に適しない種類又は状態のものは、第3類の注1(b)の規定により、第3類には含まないこととなっていることから、正しい記述である。 |
第10問(関税率表の所属を決定する要件) |
正解 A=3 B=1、2 C=4、5 <解説> 関税率表の所属を決定する要件に関する問題である。1のミルクは、第4類の規定により、脂肪の含有量が、2の生鮮たまねぎは、第07.03項の規定により、1キログラム当たりの課税価格が、3のひまわり油は、第15.12項の規定により、酸価が、4の合板は、第44.12項の規定により、外面の単板の種類が、5の貨物自動車は、第87.04項の規定により、車両総重量が、それぞれ関税率表の所属を決定する要件として最も関係が深いものである。 |