平成10年度第32回通関士試験問題と解答 〔関税法、関税定率法その他関税に関する法律(関税暫定措置法等)及び 外国為替及び外国貿易法(第六章に係る部分に限る。)〕(時間2時間) |
【記 述 式】 |
第1問(修正申告) |
模範解答(解答例)
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第2問(変質又は損傷の場合の減税) |
模範解答(解答例)
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【短 答 式】 |
第1問(関税法の用語の意義) |
正 解 4 <解 説> 関税法の用語の意義に関する問題である。1は、関税法第6条の2第1項の規定により、納税申告方式とは、納税義務者が行う納税申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が関税に関する法律の規定に従っていなかった場合、その他当該税額が税関長の調査したところと異なる場合に限り、税関長の処分により確定する方式であることから、2は、同法第2条第1項第2号の規定により、輸出とは、内国貨物を外国へ向けて送り出すことをいい、同法第2条第1項第4号の規定により、外国の船舶が公海で採補した水産物は内国貨物には該当しないことから、3は、同法第2条第3項の規定により、外国貨物を保税作業に使用する行為は、関税法上の輸入には当たらないことから、5は、同法第2条第1項第3号及び第4号の規定により、輸入の許可を受けた貨物は内国貨物であるが、同法第73条第3項の規定により、輸入許可前における貨物の引取の承認を受けた貨物は、内国貨物とみなす場合があるが、内国貨物ではないことから、いずれも誤った記述である。これに対し、4は、同法第2条第1項第4号の2の規定により、正しい記述である 。 |
第2問(申告納税方式) |
正 解 3 <解 説> 申告納税方式に関する問題である。1は、関税法第6条の2第1項第2号ヘの規定により、2は、同法第6条の2第1項第2号ロの規定により、4は、同法第6条の2第1項第2号イ及び同法施行令第3条第2項第4号の規定により、5は、同法第6条の2第1項第2号ニの規定により、いずれも賦課課税方式が適用される関税である。これに対し、3は、同法第6条の2第1項第1号及び同法第9条の2の規定により、申告納税方式が適用される関税である。 |
第3問(関税に関する更正、決定等の期間制限及び関税の徴収権の時効) |
正 解 ○=2、5 ×=1、3、4 <解 説> 関税に関する更正、決定等の期間制限及び関税の徴収権の時効に関する問題である。1は、関税法第14条第1項第1号及び同法第7条の4第1項の規定により、関税の法定納期限等すなわち輸入の許可を受ける貨物については当該許可の日から2年を経過した日以後においては、することができないことから、3の賦課決定は、同法第14条第2項第3号及び同法第6条の2第1項第2号イの規定により、当該貨物の輸入の日から5年を経過した日以後においては、することができないことから、4は、同法第14条の2第2項において準用する国税通則法第73条の規定により、関税の徴収権の時効は中断することができることから、いずれも誤った記述である。これに対し、2は、関税法第14条第2項第1号及び同法第7条の4第2項の規定により、5は、同法第14条の2第2項の規定において準用する国税通則法第72条第2項の規定により、いずれも正しい記述である。 |
第4問(輸出通関) |
正 解 ○=2、3、4 ×=1、5 <解 説> 輸出通関に関する問題である。1は、そのような規定はないことから、5は、関税法第2条第1項第4号の規定により、輸入の許可を受けた貨物は内国貨物であり、内国貨物を外国に向けて送り出す場合は、輸出申告が必要であり、外国貨物を積み戻すことにはならないことから、いずれも誤った記述である。これに対し、2は、外国に売却する本邦籍の船舶は、内国貨物であり、内国貨物を外国に向けて送り出す場合は、輸出申告を要することから、3は、同法第68条第1項及び同法施行令第60条第3項第1号の規定により、4は、同法第67条の2第1項及び同法施行令第59条の3第1項第1号の規定により、あらかじめ、税関長の承認を受けた場合には、いわゆる本船扱いにより輸出申告をすることができることから、いずれも正しい記述である。 |
第5問(輸入通関) |
正 解 ○=1、5 ×=2、3、4 <解 説> 輸入通関に関する問題である。1は、関税法第71条第2項の規定により、5は、同法第2条第1項第1号の規定により、輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることは輸入に当たり、同法第67条の規定により、貨物を輸入しようとする者は輸入申告を要することから、いずれも正しい記述である。これに対し、2は、同法第67条の2第2項の規定により、貨物を外国貿易船に積み込んだ状態で輸入申告をする場合であっても、積荷目録を税関に提出した後にしなければならないことから、3は、そのような規定はないことから、4は、同法第32条の規定により、保税地域から外国貨物を見本として一時持ち出そうとする者は、見本を一時持ち出すことについての許可を受けなければならないことから、いずれも誤った記述である。 |
第6問(輸入通関) |
正 解 4 <解 説> 前問同様、輸入通関に関する問題である。1は、関税法施行令第92条第3項の規定により、2は、関税定率法第3条の3の規定により、3は、コンテナー特例法施行令第2条の規定により、5は、関税法第73条の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、4は、特恵関税の適用について、国際郵便物を利用して輸入する貨物を除外するとの規定はないことから、誤った記述である。 |
第7問(輸入申告の時期の特例) |
正 解 イ=7 ロ=5 ハ=6 ニ=8 ホ=9 <解 説> 輸入申告の時期の特例に関する問題である。設問の文章は、関税法施行令第59条の3第1項第3号の規定に沿ったものであり、適宜正しい語句を選択する。 |
第8問(保税地域等) |
正 解 ○=2、3 ×=1、4、5 <解 説> 保税地域等に関する問題である。1は、関税法第36条第1項において、許可を受けて保税地域外に置く外国貨物、いわゆる他所蔵置貨物については、保税地域についての記帳義務の規定はないことから、4は、保税展示場に外国貨物を置くことができる期間については、規定がないことから、5は、同法第34条の2の規定により、その管理する外国貨物及び輸出しようとする貨物について帳簿を設け、政令で定める事項を記載しなければならないのは、総合保税地域の許可を受けた法人ではなく、総合保税地域を管理する者であることから、いずれも誤った記述である。これに対し、2は、同法第47条第1項第2号及び同法第48条の2第2項の規定により、3は、同法第62条で準用する同法第43条の3の規定により、いずれも正しい記述である。 |
第9問(貨物の運送) |
正 解 5 <解 説> 貨物の運送に関する問題である。1は、関税法第63条第1項の規定により、2は、同条第2項の規定により、3は、同条第3項の規定により、4は、同条第4項の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、5は、同法第65条第1項の規定により、外国貨物が、指定された運送期間内に運送先に到着しない時は、運送の承認を受けた者から、直ちにその関税を徴収することから、誤った記述である。 |
第10問(関税の軽減又は免除) |
正 解 ○=1、4、5 ×=2、3 <解 説> 関税の軽減又は免除に関する問題である。1は、関税定率法施行令第7条第2項の規定により、4は、同法第17条第4項及び第5項の規定により、5は、関税暫定措置法第8条第2項の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、2は、そのような規定はないことから、3は、関税定率法第15条第1項第9号の規定により、自動車は、本邦に入国する者が入国前に使用していたもので、個人的な使用に供するものであればよいことから、いずれも誤った記述である。 |
第11問(関税を軽減し、又は免除する場合の担保の提供) |
正 解 A=3、5 B=1、2、4 <解 説> 関税を軽減し、又は免除する場合の担保の提供に関する問題である。1、2及び4は、税関長がその軽減又は免除に係る関税の額に相当する担保を提供させることができるとの規定がないことから、いずれも担保を提供させることができない。これに対し、3は、関税定率法第13条第3項の規定により、5は、同法第17条第2項で準用する同法第13条第3項の規定により、いずれも担保を提供させることができる。 |
第12問(違約品等に係る関税の戻し税) |
正 解 3 <解 説> 違約品等に係る関税の戻し税に関する問題である。1は、関税定率法第20条第1項の規定により、関税の払戻しを受けようとする貨物がその輸入の許可の日から6ヵ月以内に保税地域に入れられたものである場合に限り、その関税を払戻すことができることから、2は、そのような規定はないことから、4は、関税定率法施行令第56条第1項の規定により、関税の払戻しに係る申請書は、輸出申告をした税関の税関長に提出しなければならないことから、5は、同法施行令第55条第1項の規定により、関税の払戻しの額は、延滞税及び過少申告加算税の額は除かれることから、いずれも誤った記述である。これに対し、3は、同法第20条第1項及び第2項の規定により、正しい記述である。 |
第13問(特恵関税適用上の原産地) |
正 解 1 <解 説> 特恵関税適用上の原産地に関する問題である。2は、関税暫定措置法施行規則第8条第9号の規定により、3は、同法施行規則第8条第6号の規定により、4は、同法施行令第50条第3項の規定により、5は、同法施行規則第9条の規定により、それぞれ正しい記述である。これに対し、1は、同法施行令第50条第2項の規定により、本邦から一の特恵受益国に輸出された物品を原料の全部として当該特恵受益国において生産された物品のうち、同法施行令別表第2に掲げる物品は、当該特恵受益国で完全に生産された物品とみなされないことから、誤った記述である。 |
第14問(課税価格の決定) |
正 解 A=1、2、3 B=4、5 <解 説> 課税価格の決定に関する問題である。輸入貨物の課税価格は、関税定率法第4条第1項の規定により、原則として、当該貨物の輸入取引がされた時に買手により売手に対し又売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払うべき価格(現実支払価格)に基づいて決定することとされている。しかしながら、輸入取引に基づいて輸入された貨物であっても、特別な事情がある場合には、原則的な課税価格の決定方法を適用することはできず、同条第2項の規定により、同法第4条の2以下の規定の同種又は類似の貨物に係る取引による価格の決定等により、課税価格を決定することとなる。設問においては、1は、関税定率法第4条第2項第3号の規定により、2は、買手による輸入貨物の処分又は使用につき制限があり、当該取引価格に実質的な影響を与えていることから、同法第4条第2項第1号及び同法施行令第1条の7第3号の規定により、3は、同法第4条第2項第2号の規定により、いずれも、同法第4条第1項に規定する方法により課税価格を決定できない。これに対し、4は、同法第4条第2項第1号及び同法施行令第1条の7第2号の規定により、5は、同法施行 令第1条の8第3号の規定により、売手と買手との間に 特殊関係はあるが、輸入貨物の取引価格に影響を与えていないことから、同法第4条第2項第4号規定により、いずれも同法第4条第1項に規定する方法により課税価格を決定することができる。 |
第15問(課税価格の決定) |
正 解 4 <解 説> 前問同様、課税価格の決定に関する問題である。輸入貨物の課税価格は、現実支払価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格(すなわち取引価格)に基づいて決定されることとなっている。設問においては、1は、関税定率法第4条第1項第2号イの規定により、2は、同法第4条第1項第4号の規定により、3は、同法施行令第1条の4第1号の規定により、5は、同法第4条第1項第3号ニ及び同法施行令第1条の5第2項の規定により、いずれも課税価格に算入されない。これに対し、4は、同法第4条第1項第4号の規定により、課税価格に算入される。 |
第16問(外国為替及び外国貿易法) |
正 解 イ=6 ロ=7 ハ=9 ニ=2 ホ=5 <解 説> 外国為替及び外国貿易法に関する問題である。設問の文章は、外国為替及び外国貿易法第48条第1項及び同法第53条第1項の条文であり、適宜正しい語句を選択する。 |
第17問(輸入貿易管理令) |
正 解 ○=1、2、5 ×=3、4 <解 説> 輸入貿易管理令に関する問題である。1は、輸入貿易管理令第5条第1項及び同令第18条第2号の規定により、2は、同令第9条第1項の規定により、5は、同令第14条第1号及び別表第1の第17号の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、3は、同令第4条の規定により、輸入の承認を受けなければならない貨物は、輸入割当てを受けることを要する貨物、輸入の承認を受けるべき貨物の原産地又は船積地域が公表された場合におけるその原産地又は船積地域から輸入しようとする貨物等であることから、4は、同令第14条第1号及び別表第1の第2号の規定により、いずれも誤った記述である。 |
第18問(関税率表の解釈に関する通則) |
正 解 ○=2、3 ×=1、4、5 <解 説> 関税定率法別表の「関税率表の解釈に関する通則」に関する問題である。1は、通則2(a)の規定により、完成した物品で、提示の際に分解してあるものは、当該完成した物品の属する項に含まれることから、4は、通則5(a)の規定により、楽器用ケースは、楽器又は楽器のセットを収納するために特に制作し又は適合させたものであって、長時間の使用に適し、当該収納される楽器とともに提示され、かつ、通常当該楽器とともに販売されるものは、当該楽器に含まれることから、5は、通則1の規定により、部、類及び節の表題は、単に参照上の便宜のために設けたものであることから、いずれも誤った記述である。これに対し、2は、通則3(c)の規定により、3は、通則3(a)の規定により、いずれも正しい記述である。 |
第19問(不服申立て) |
正 解 イ=6 ロ=8 ハ=5 ニ=2 ホ=4 <解 説> 不服申立てに関する問題である。設問の文章は、関税法第89条、同法第90条及び同法第91条の規定に沿ったものであり、適宜正しい語句を選択する。 |
第20問(電子情報処理組織を使用して行う申請) |
正 解 2 <解 説> 電子情報処理組織を使用して行う申請に関する問題である。電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律第5条の規定により、通関業者は、電子情報処理組織を使用して他人の依頼による申告等を行う場合には、通関業法第14条に規定する通関書類を提出することにより行うこととされている申告等については、当該申告等の入力内容を通関士に審査させなければならないが、同法施行令第6条の規定により、1、3、4及び5については、いずれも通関士に審査させなければならない申告等に該当しない。これに対し、2は、通関士に審査させなければならない申請である。 |