本試験問題と解答・解説


平成9年度第31回通関士試験問題と解答
〔通関業法関係〕(時間1時間)


【記 述 式】
第1問(通関士による通関書類の審査制度)
模範解答(解答例)

  1. 通関士による審査の目的及び内容
    1. 通関士による通関書類の審査制度を設けた目的は、通関業者が通関士に通関書類の内容を審査させることにより、貨物の通関手続の適正かつ迅速な実施を確保しようとするものである。
    2. 通関士による通関書類の審査制度の内容としては、通関業者は、他人の依頼に応じて税関官署に提出する通関書類のうち所定のもの(通関士が通関業務に従事している営業所における通関業務に係るものに限る。)については、通関士にその内容を審査させ、かつ、これに記名押印させなければならないこととされている。

  2. 通関士による審査を要する書類には、輸出申告書、積戻し申告書、輸入(納税)申告書、外国貨物船用品(機用品)積込承認申告書、蔵入承認申請書、移入承認申請書、展示等申告書、総保入承認申請書、異議申立書、審査請求書、修正申告書、更正請求書、展示等承認貨物積戻し申告書、航空貨物簡易輸出申告書がある。
【短 答 式】
第1問(通関業務)
正 解

A=1、2、4 B=3、5

<解 説>
通関業務に関する問題である。1は、通関業法第2条第1号イ1の規定により、2は、同号イ2の規定により、4は、同号イ3の規定により、いずれも通関業務に該当する。これに対し、3及び5は、同号のいずれにも該当せず、通関業務には該当しない。

第2問(通関業の許可)
正 解



<解 説>
通関業の許可に関する問題である。1は、通関業法第5条に規定する許可の基準には兼業の規定がないことから、2は、同法第4条第1項第3号の規定により、通関業務を行おうとする営業所ごとに置こうとする通関士の数を記載しなければならないことから、4は、同法第3条第4項の規定により、税関長は、通関業の許可をしたときは、遅滞なく、その旨を公告するとともに、許可を受けた者に許可証を交付することとなっていることから、5は、同法第3条第2項及び第3項の規定には、条件の内容について大蔵大臣の承認を受けなければならないとする規定はないことから、いずれも誤った記述である。これに対し、3は、同法第3条第1項及び第8条第1項の規定により、正しい記述である。

第3問(通関業者の営業区域の制限)
正 解

○=2、5 ×=1、3、4

<解 説>
通関業者の営業区域の制限に関する問題である。1は、通関業法第9条の規定により、通関業務に係る取扱貨物を一定の種類のもののみに限定する条件が付されている場合であっても、通関業を営むことができる地域は通関業の許可に係る税関の管轄区域内に限られていることから、3は、同条の規定により、通関業務を行うことができる地域を限定する条件が付されている場合は、当該限定された地域以外では通関業務を行うことができないことから、4は、同条の規定により、通関業を営むことができる地域は税関手続を依頼した者の所在地には関係ないことから、いずれも誤った記述である。これに対し、2及び5は、同条の規定により、いずれも正しい記述である。

第4問(通関業の許可の消滅又は取消し)
正 解

A=2 B=1、3 C=4、5

<解 説>
通関業の許可の消滅又は取消しに関する問題である。1は、通関業法第6条第8号に規定する欠格事由に該当することから、同法第11条第1項第2号の規定により、3は、同法第6条第5号に規定する欠格事由に該当することから、同法第11条第1項第2号の規定により、いずれも税関長が通関業の許可を取り消すこととなる。また、2は、同法第10条第1項第2号の規定により、通関業の許可が消滅することとなり、4及び5は、同法第10条及び第11条に規定する許可の消滅原因及び取消し原因のいずれにも該当しない。

第5問(通関士の設置)
正 解

イ=8 ロ=1 ハ=9 ニ=10 ホ=2

<解 説>
通関士の設置に関する問題である。問題の文章は通関業法第13条及び同法施行令第4条第1項の規定に沿ったものであり、適宜正しい語句を選択する。

第6問(税関長が行う更正に関する通関業者からの意見の聴取又は税関長が通関業者に対して行う検査の通知)
正 解

○=1、4、5 ×=2、3

<解 説>
税関長が行う更正に関する通関業者からの意見の聴取又は税関長が通関業者に対して行う検査の通知に関する問題である。1は、通関業法第15条の規定により、4及び5は、同法第16条の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、2及び3は、同法第15条の規定により、税関長が行う更正に関し、通関業者に対し意見を述べる機会を与えなければならないのは、納付すべき関税の額を増加する場合であることから、いずれも誤った記述である。

第7問(秘密を守る義務を課されている者又は信用失墜行為が禁止されている者)
正 解



<解 説>
秘密を守る義務を課されている者又は信用失墜行為が禁止されている者に関する問題である。1、2及び3に掲げる者は、通関業法第19条の規定により、秘密を守る義務が課され、加えて同法第20条の規定により、信用失墜行為が禁止されている。また、4に掲げる者は、同法第19条及び第20条において、特段の規定はなく、通関業法上の義務は課されていない。これに対し、5に掲げる者は、同法第19条の規定により、秘密を守る義務だけが課されている。

第8問(税関長の確認)
正 解



<解 説>
税関長の確認に関する問題である。1は、通関業法第31条の規定において、通関士試験に合格した者が受験した地を管轄する税関長の確認を受けなければならないとする規定はないことから、3は、同法第31条第2項第1号の規定により、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過すれば、税関長の確認を受けることができることから、4は、同法第31条の規定において、専任でない通関士として通関業務に従事させようとする場合に、税関長の確認を免除するとした規定はないことから、5は、同法第31条の規定において、通関士試験合格後の経過期間を制限する規定はないことから、いずれも誤った記述である。これに対し、2は、同法第31条第2項第2号の規定により、正しい記述である。

第9問(通関士の資格の喪失)
正 解

○=1、3、5 ×=2、4

<解 説>
通関士の資格の喪失に関する問題である。1は、通関業法第32条第1号の規定により、3は、同法第6条第2号に規定する欠格事由に該当することから、同法第32条第2号の規定により、5は、同法第6条第4号に規定する欠格事由に該当することから、同法第32条第2号の規定により、いずれも正しい記述である。これに対し、2及び4は、同法第32条に規定する資格の喪失原因には該当せず、通関士の資格を喪失しないことから、いずれも誤った記述である。

第10問(通関士に対する懲戒処分及び税関長に対する調査の申出)
正 解

イ=8 ロ=6 ハ=5 ニ=1 ホ=3

<解 説>
通関士に対する懲戒処分及び税関長に対する調査の申出に関する問題である。問題の文章は通関業法第35条及び第36条の規定に沿ったものであり、適宜正しい語句を選択する。



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