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不撓不屈の挑戦

~6年間に渡る通関士受験生活について~

 

平成27、28年度・通関士養成通信教育講座、スクーリング、特別答練受講(受験6回)
平成25年度・通関士養成講習会受講
全国通関士模試受験
中山振筆さん(株式会社吉野家HD勤務)

1.初めに

私は第45回から第50回本試験までの6年間 挑戦・失敗・再挑戦・再失敗・尚挑戦・又失敗…その繰り返しを乗り越えて、還暦の年にようやく合格し、官報に名を載せられました。

2.受験の動機

54歳から定年に向かうにあたり、自分自身の社会人人生の転換として、貿易業界唯一の国家資格である通関士に挑戦することを決めました。

3.私の所感

(ⅰ)学習について
①早め(1~2月頃)に品目分類に着手する
21部97類、世にあるもの全てを含めている。
そのために、まず「森を見て、木を見る。」
「HS品目表」の体系を理解する。第1次産品(農水産物)から第2次産品(鉱工業製品)、趣味嗜好に関する美術品・収集品・骨董等物品。
次に、材質による分類と機能・用途による分類を概ね理解する。同じ家電製品でも、84類と85類にそれぞれ属する。更に、注に必ず目を通す。
失敗から学んだことで、申告書(特に輸出申告書)作成時の品目分類についての設問は必ず類注や部注の内容を訊いてくる、というのがある。第3科目は時間制限が厳しいので、事前に多くの類注や部注を覚えておく。例えば、第71類の貴金属を張った(clad with)とメッキ(plated with)の区別。第61・62類の燕尾服がスーツに属する。スーツには、ズボン1点を下半身用構成部分とみなす。第63類の中古衣類については、中古か否かが外観から明らか、且つばら積みか、ベール、サック包装か。

使用したテキスト:
『通関実務』、『通関士試験合格のハンドブック』片山立志、
『ゼロからの申告書』、『通関実務(集中対策問題集)』笠原純一

②関税法等を通関士試験の中核として重点を置く
第2科目の関税法等は、第3科目の基礎でもあり、計算問題・課税価格・選択問題に密接している。
そのために、まずテキストを通読する。特に関税法・関税定率法・関税暫定措置法の3法については念入りに読む。
次に、問題を解き、理解を深める。誤答の原因を追究する。
質問指導と質問倉庫を活用すること。
更に、反復練習により記憶を定着させる。

使用したテキスト: 『関税法等』、『通関士試験問題・解説集』、『まるわかりノート』、『通関手続ドリル』、『通関士試験の指針』

③通関業法を後回し
8月に入ったら、第1科目の勉強を開始する。
受験経験者だったので、多少記憶にある状態でテキストを一読し、問題を解いた。

使用したテキスト: 『通関業法』、『通関士試験問題・解説集』

(ⅱ)本試験について
①語句を制する者は第1、2科目を制する

語句についての設問は、第1科目、2科目それぞれ25/45点、25/60点と占めるウエイトが大きい割に得点しやすい。目標としては20~25点満点を確保したい。その対策として、『まるわかりノート』の「頻出条文」や『通関士試験 問題・解説集』中の正解選択を朗読するのが良い。早めに職場に向かい、車通勤ゆえに駐車場の車内で人目を気にすることなく朗読できた。効果は必ず期待できるものであり、模試や本試験でも目標点を取り、更に択一問題と複数問題の得点を加えると、余裕をもって合格点をクリアできる。

②輸入申告書の「課税価格の計算」を制する者は第3科目を制する

5点から10点への配点調整があり、それは受験生にとって更なる死活問題となる。まず、「輸入申告書の課税価格の計算」と「計算問題の課税価格の計算」の区別をはっきり認識すること。近年の本試験の傾向を見るに、その差異を訊いてくる設問が露骨に増えてきている。

その1. 異なる通貨について、例えば第49回 AUDとUSDとの選択
その2. 他の要素の参入、例えば第50回 歩留まりの計算
その3. 難解な問題文、例えば第50回 現地への指導費用の加算・非加算
その4. 関税定率法や関税暫定措置法の内容の混在---これに関しては輸入割当制度やEPA税率等の参入により、本試験時の臨機応変な対応が要求される。例えば、第49、50回

第3科目の試験対策としては、

a.『関税評価303』を通読する
勿論、本試験には全く同じ事例が出ないが、通読により、根本的な思考が身につく。多少異なる事例くらいなら本番中に判断ができる。例えば、第49回 通貨選択、揚げ地変更による加算等

b. 3つの会場模試を受ける
関税協会は勿論のこと、他校の会場模試にも参加し、様々な経験をする。様々な設問に触れ、対応力を鍛え、本番へと自信をつける。

c.部分点を取ること
例えば、第50回 加算か非加算かを訊く問題にて、3品目を加算、2品目を非加算と選択する方も有効。

d.思い切りの良い取捨選択的な対応
大抵の受験経験者組は、輸出申告書の作成を後回しにすることが多く、結果として時間が足らずに終わることが多い。極論だが、少額判断基準価格の作成を思い切って省略するのも一つの手だ。輸出申告書の作成においては、品目分類がメインで、分類さえ間違えなければ仕入書価格の大小で順番を決定できる。

e.計算問題8割、択一6割、複数選択5割
これをモットーにする。

(ⅲ)本試験における小技
①電卓は左手、メモは右手

②電卓の桁のshiftキーを固定する
瞬間接着剤やビニールテープで固定してしまう。第48回の本試験中に桁が2になったために、輸入申告書の課税価格の計算を間違い、結果不合格となった。

③太めのマークペンを使う
細いペンはマークするのに時間がかかりもったいない。太いペンならば、外枠をなぞるだけで内側まで塗れてしまう。

④問題文を後ろから読むこと
問題を読みながら作業するときに、前から読んでいると飛ばし読みしてしまう恐れがある。題意を読み取るためにも、要点がありがちな後半から読む。

⑤定規を活用する
試験中、選択税番10桁区切りの縦線、仕入書の品目ごと区切りの横線を引くのに使う。

⑥前夜湯船に浸かること。
本試験の前夜、なかなか眠れません。本試験に集中力低下につながる。前夜の8時に、一切の勉強をやめ、入浴剤を入れたお風呂に浸かる。

4.最後に

6年間に渡る持久戦には、なにより強い忍耐力が必要でした。同期のクラスメイトや受講生が合格し、彼らを拍手で送別したこと。見切りをつけて離脱する方と握手をし、「お体に気を付けて」とご挨拶したこと。晩秋の公園のベンチで一人ぼっち、それでも夢を捨てることができなかった。

“I have the dream. We have the dream.”

この言葉をもって、自分自身・同志を励ました。

私はこの6年間で、独学したこともあり、他の学校にも通ったこともあった。でも、やっぱり最後にこの関税協会の講習を一本にした。それは、関税協会の組織力による教育が、あらゆる受験学校と比べてもより強いからであると実感した。

最後に、今回の合格は関税協会の先生と事務局方々のお蔭です。家族のサポート、職場の上司同僚のご理解とご支援をこの場を借りてお礼申し上げます。

特に、この体験記の構成、推敲のほとんどを任された優秀な息子の貢献もあって、皆さんに喜びを伝えられることを何よりも嬉しく思います。息子の流暢過ぎる日本語に乾杯!!!