通関士覆面座談会その3

通関士覆面座談会その3

通関士覆面座談会その3

出席者:

棚 橋 様 47歳(92年通関士試験合格、受験2回)
山 崎 様 41歳(04年通関士試験合格、受験2回)
木 原 様 26歳(10年通関士試験合格、受験2回)
船 木 様 36歳(09年通関士試験合格、受験2回)
青 島 様 32歳(03年通関士試験合格、受験2回)
上 席 様 51歳(90年通関士試験合格、受験2回)
 

注:出席者の氏名は仮名です。

 

 

司会: 実際に通関のお仕事をされていて、日本の通関制度に関して何かご意見はありますか?特段、行政に対するものでなくても構いませんので、ご意見を聞かせていただけますか?
山崎: 日本は、先進国の中では、けっこう通関が厳しい方なのかなという気はするんです。
司会: 日本の場合、きちっとしていますよね。
山崎: ええ、審査とか。たとえば、アメリカは輸出通関がないとかというような話をちょろっと聞いたことがあったのですが、後から書類を出すだけでいいみたいな・・・。
青島: 輸出は、その方がいいと思いますよね。
山崎: アメリカなどは輸入の方も制度がきちんと整っているから、船が入ると通関が切れてしまうような、そういう制度はだいぶ前から存在していたみたいですよね。
司会: 何か日本は真似っこしていますものね。
山崎: 日本は後を追いかけていますよね。
司会: 木原さんは、あまりそういうのは感じませんか?こんなものなのかなみたいな感じですか。
木原: そうですね、私は制度についていくので精一杯です。ただ、どうしてこんなに細かいことを言われなければいけないんだろうと思うことがあったぐらいですかね ^^;
司会: たとえば?
木原: ほんの数キロの重量差でも、ネットウェイトが違うから直して下さいと言われたときに、そんな、もっと世界的に見たら、何トンの中の何キロってどうでもいいじゃんって思うんですよ ^^;
それを訂正する時間と審査する時間を考えたら、もっと別のことをやった方がいいのではないかなと思ったのですが、そんなことはずうずうしくて言えないです ^^; 言ってしまいましたが><
司会: 青島さんはどうですか?
青島: 税関に対してですよね。
司会: 税関に対してでも、財務省に対してでも構いません。同業他社に対してでも構いませんし・・・
ちなみに御社の場合は、他社と、たとえば通関部門同士で、いろいろなお仕事のことも含めて交流とかあったりするのですか?
船木: それは個人的にですね。以前、通関士をやる前に、たとえば立会の仕事をやっていて、税関によく出入りしていたときに、他業者の立会と仲良くなったりとかすると、そこで繋がりができて、情報交換したり、会ったりとかということはあるので。ただ、うちの今の通関だと、先ほど言ったように、外出することはほとんどないデスクワークが主なので ^^;
立会に出ることが一番ほかの情報を得たり、交流を持てる機会なのかな。
司会: 大手の同じような通関部門で働いていらっしゃる同業他社さんは、やはりデスクワークが主なんですかね。
船木: 結構それなりの規模のところは、そうかもしれないですね。
棚橋 逆に小さいところのほうが、審査をやって立会行ったりとかがあるのかもしれない。少し大きくなってしまうと、やはり通関士の人はデスクワークが中心になってしまうかもしれないですね。
青島: 分業制になっていますよね。
司会: 最初に山崎さんが、川上から川下まで、自分できちんとウォッチしながら「仕事の流れ」を見てやれることが、すごくやりがいだとおっしゃっていましたが、逆に今おっしゃった分業制との絡みで、山崎さんがおっしゃっていたような「仕事の流れ」が分断されるということはないのですか?
山崎: 物量の問題だと思うんですよね。
司会: そういうことですか。
山崎: 私がそれをやっていたときは、本当に少ない件数だったので、少ない件数だったからこそ、掛け持ちしなくてはならないという感じだったのですが、そこはもう申告する件数、扱っている件数が桁違いなので、それを考えると、やはり業務別に担当を分けざるを得ない状況だと思うのです。それを全部見ていたら、たぶん仕事が回らなくなってしまうと思うんです。
司会: 実際に皆さん、通関士の資格をお持ちですが、執務上、おそらく木原さんなどはわからないことがあったら、先輩にいろいろ聞いたりアドバイスを受けたりしますよね?
木原: します。
司会: 先輩通関士とは、どのような関係、つながりを持ってお仕事をされていますか?
木原: 私は結構気軽に聞いてしまっているような気がします。忙しい時間帯でも、「すみません、今、大丈夫ですか」と。
向かい側に青島さんが座っていて、斜めに船木さんが座っていて、結構話しかけやすい状況なので。
自分でいったんは調べてみるのですが、先輩の意見も聞きたいなと思って、やはり分類に関してはよく聞いてしまいます。
司会: 就業時間中は、あまりペラペラお喋りとかできないわけでしょう?
木原: いや、そんなことはないと思います。でも、みんな集中すると、確かに静かな時間というのが結構あるなと自分でも思います。
青島: 忙しいときは一言も喋らない。午前中、誰とも喋らなかったとかありますよ。
木原: でも、喋ってはいけないというわけではないですね。
青島: あとは、いかに効率よく仕事を回すかということを考えて、自分で調べていたら、10分、30分とかかってしまうのを、あの人に聞けばたぶん知っているだろうなと思って聞いてみたら、5分、10分で終わってしまう。で、他の申告のチェックもする、審査もいけるというのを考えながらやったほうがうまくいく。そういった別の話もできるというような感じがします。
司会: 1日で処理しなければならない申告件数のノルマのようなものはあるんですか?
木原: ノルマはないですが、やはり当日中に見なければならない件数はあります。あるというか、きたものはすべて見なければならないというだけなんですが ^^;。
司会: それは上司の方が一人ひとりに、これは今日中にやって下さいと、指示するのですか?
船木: 営業の部署、つまり輸入と輸出で違うんですが、輸入に関しては営業の部署によって、通関士が5人いたら5等分をするという平均のアベレージを出して区分けをするのです。その区分けを責任持ってやりましょうという形にしているので、自然と分かれるようにはなっています。
輸出は、きたものをどんどんやれる人がやっていくという山崩し方式でやっています。
司会: やはり積み残すこととかあるでしょう? 要するに、本当はやっておきたかったんだけれども、できなかった。その辺の判断基準は何をもってされるわけですか。
木原: 社内の手配書がついているのですが、その手配書を見て、配達日が近々のものは絶対にやって帰らないといけないと思って、それで判断して一応やるようにはしています。
でも、配達日がそんなに近々でないものでも、何か追い出しがくるのです。せかされるのです。営業部署とかオペレーションのグループから、「これまだ申告入っていないんですけど、どうなっているんですか? 至急入れて欲しいんですけど」と言われるときがあって、それを気にしなければいいのですが、まだ貨物通らないのだからいいじゃんと思えばいいのですが、でも、何か地味に少しずつ・・・ ^^;
いやだなという気持ちが積み重なっていくので、積み残さず、できる限り見て帰りたいなと思います。
司会: 通関士の部署に、定時退社はないのですか?
棚橋 まず、1年に1日あるかないか・・・
船木: ないでしょうね ^^;。
青島: ないですね ><
上席 周りの協力がないと、ほぼないですね。今日はどうしてもというのであれば、2人で頑張っています。
司会: それは、他社さんでもそうですか?
棚橋 ケースによるのではないですか。
山崎: 件数次第だと思いますよ。
船木: たとえば中国の旧正月の期間、国慶節の期間とかだと、その前後に関しては輸出が減る、輸入が減るということはあります。
早く帰れたり定時近くに帰れるというのは、やはり件数の増減によるところが大きくて、影響をモロに受けるのかなと思います。
やはり先ほど言っていたように、急ぎの配達の貨物もそうですし、やっていてこれは区分1で許可になるなというのがわかるものもあれば、これは必ず税関の審査、検査になるだろうという判断もだんだんできてくるので、それに関しては必ずやっておかなければいけないなというものを自分で分けて、それを最低限やって帰ります。
だんだんやればやるほど、自分でコントロールできるようになってくるのかなと思います。
司会: では、これから通関士を目指す後輩諸君に対しては、定時退社したいような奴はならないほうがいい ^^;
山崎: その通関営業所が頭割りで、1人当たり何件抱えているかという、その辺次第だと思うのです。それが少ない業者だと早く帰れるだろうし。
司会: 御社の場合、定時退社は望めない?
山崎: うちはとりわけ多いですからね。でも、同じ組織でもそうでないところもありますからね。この営業所は特に一番多いところなんですが。地方とかはそうですね。
司会: 取扱量も全国の中でかなり多い方ですか?
木原: 地方の同期にそう言われました。
上席 全国で船は一番多いです。
棚橋 エアに比べればあれですが、海のほうだと一番ですね。
上席 営業がうちらよりもっと遅くやっているわけで、彼らが夜遅くまで頑張ってやった書類を、それぞれ一斉人員でやっている中で、うちだけが早く帰れるわけがないというのが本音ですね。
うちはまだ早いほうではないですか。あれだけやっている職員の受け皿となっているわけだから、うちだけ早く帰るという訳にはいかない。
一同: (爆笑)
青島: 営業に比べたらストレスはたまらないですよね。自分でコントロールできるから。対お客さんではないので、そういった面では全然、精神的には楽です。
船木: あと通関士同士のコミュニケーションをよくしていけば、今日は早く帰れるかな、今度やるから今日だけお願いという、そういう融通が利かせられるかは、本人次第かもしれないです。
司会: ちなみに、平均すると月どのくらい残業していますか?
木原: 残業は一応55ぐらいですかね。でも、週1で私は必ず定時退社する日があるんです。でもそれは自分でコントロールできるから、翌朝早く来れば、早く帰ったのを取り戻せるということで、朝6時半に来るときもあります。
司会: そんな早くからオフィスは開いているんですか?
木原: 開いているんです ^^;
司会: このオフィスは24時間ずっと空いているんですか?
木原: いや、6時半に開くんです。
司会: 船木さんなどは月にどのくらい残業されているんですか。
船木: 50時間ぐらい。
司会: やはり皆さんだいたいそのくらいの長さ。永田さんなどはもっと……。
棚橋 私はつかないのでよくわからないですけど ^^;
司会: 皆さん、超勤されているわりには、楽しそうにお話なさいますね ^^ きっと、お仕事が楽しいんでしょうね。
それでは、最後の質問です。
皆さんは通関士の資格をお持ちですが、日本の通関士制度について思うことがおありでしたらお聞かせ下さい。
棚橋 うちは親父が建築士なんです。建築士は事務所を開設できるじゃないですか。
通関士の場合は、権限的に弱いというか、華やかではないと思いますね。資格自体の知名度がないからかもしれないけれど、そういう開業とかができれば、多少なりとも人気は出てくるのかなぁ。
司会: でも、業務の性格上、個人で開業できたとしても、顧客を捜すのがまず大変ですよね。
棚橋 まあ、それはそうですね。
司会: 木原さんは、いかがですか?
木原: 考えたことがなかったです。権限ですか。わからないです。ないと思います ><
司会: 山崎さんは、どうですか?
山崎: 海外に行っていたこともあるので、通関士のような立場の人はもう少し偉いといったらおかしいですが、立場的にもっと大事にされているような気がしますね。
司会: それは私も思います。こういうふうなサイトで、もっとアピールしていかなければいけないかなと感じています。日本の制度の中にあって、絶対にないと困る資格なんですから。
山崎: そうですよ。
司会: 他の国家資格と比べて、与えられている権限が小さいので、現職の通関士の皆さんは、もっとストレスを感じているのかなと思ったのですが・・・^^;
船木さんは、いかがですか?
船木: 自分は今のこのスタイルが、当たり前かなと慣れてしまっているんです。
逆に自分は、海外の通関士制度というか、通関士の人の情報を得たいなとは思います。それで、日本でもこういうことができるのではないかとか、アメリカは独立できるんでしたっけ?たぶん日本とは違うやり方があると思うので。
そうすると、やはり知名度も上がるし、通関士の資格を取ったことによって、また幅も広がっていくし、やりたいこととか、いろいろなことがアイデアとして浮かぶのかなと思います。
司会: 機会があったら、是非このサイトでも海外の「通関士事情」みたいなものを紹介したいと思います。
お忙しい中、皆さん本当にありがとうございました m(_ _)m
   
Fine