通関士覆面座談会その1

通関士覆面座談会その1

通関士覆面座談会その1

出席者:

棚 橋 様 47歳(92年通関士試験合格、受験2回)
山 崎 様 41歳(04年通関士試験合格、受験2回)
木 原 様 26歳(10年通関士試験合格、受験2回)
船 木 様 36歳(09年通関士試験合格、受験2回)
青 島 様 32歳(03年通関士試験合格、受験2回)
上 席 様 51歳(90年通関士試験合格、受験2回)
 

注:出席者の氏名は仮名です。

 

 

司会: 今日は、現場の第一線で活躍なされている通関士の皆様から、いろいろなお話をお伺いしようと思います。
ザックバランなフリートークということで、『通関士の実態』に少しでも迫れたらと思いますので、皆さん宜しくお願いします m(_ _)m
では、まず始めにお一人ずつ簡単で構いませんので、通関士になられた『馴れ初め』をお聞かせ下さい。
棚橋: 今の若い人たちは通関士というのはけっこうみんな知っていて、取って入ってくる人もいるんですけれども、私らの時代は通関士など、会社に入るまで全然知知りませんでした。
しかも私は、入社時は通関ではなかったので、通関課に異動になったのが平成3年で、そのとき初めて通関士を知りまして、はじめは落ちました。
平成3年8月に移ったのですが、とりあえず10月に受けろと言われ、それで受かるわけもなく落ちまして、翌年の平成4年に通関士を取りました。
ただ、私も入社からもう二十何年経つけれども、ずっと通関ではなく、出たり入ったりしているのですが、通関に入ったのが3回目です。延べにすると12年ぐらいなので、会社に入ってから半分は通関にいるかなという感じでやっております。
司会: ありがとうございます。ちなみに資格を取られたときは独学ですか?
棚橋: 社内講習ですね。それを受けて、『通関士試験の指針』を参考にしながら勉強しました。
司会: ありがとうございます。では山崎さん、お願いします。
山崎: しばらくはずっと営業をやっていまして、通関士を取ったのは8年前ぐらい、1回目に試験を受けたときには営業だったので、なんか「受けろ」という話になったので、とりあえず受けただけという状態で、もちろん落ちました。
その2年後ぐらいに、通関に行けという話になって、そのときに、通関に行ったので通関士試験を受けなくてはならなくて、そのときは受けて受かって、通関士としては7年ぐらいやっています。
司会: 山崎さんも社内講習で?
山崎: 社内講習です。
司会: ありがとうございます。では、続いて紅一点の木原さん ^^
木原: 私は2008年に入社しまして、はじめは営業に配属でした。入ったときから、「入社3年目までには通関士は取るもんだよ」と、みんなに刷り込まれていたので、取らなければならないんだろうと思って、入社2年目になったときに社内講習に出席させてもらい、その年、絶対受かるつもりで頑張ったのですが。。。
難しくて、1点差で落ちてしまいました。きちんと財務省に問い合わせまでしたので、本当に1点足りなかったんです><
司会: 教えてくれるんでしたっけ?
木原: 収入印紙を張って、所定のフォームで申込みをすれば、数週間後に結果が返ってきます。
山崎: そこまでやったの ^^;
木原: 悔しかったので、その次の年、3年目でもう一度チャレンジして、その年に無事受かりました。昨年で入社4年目だったのですが、通関部門に異動になりまして、修行の後、最短で通関士の登録をしていただき、今まで通関士としてやらせてもらっています。
司会: ありがとうございます。では次、船木さんお願いします。
船木: 自分は転職組で、前は全く異業種のアパレル業界の営業をやっていました。大学のときに通関士という資格のことを知りまして、是非その仕事をやってみたいというのが前の業界にいたときから忘れられませんでした。
その間、勉強して何とか資格を取得。いまは、こうやって通関士として仕事ができるようになりました。
司会: ありがとうございます。では最後に青島さん、お願いします。
青島: 私も船木さんと一緒で、2006年に転職組で入りまして、通関士を取ったのは大学4年生のときでした。
大学3年生ぐらいのときに、自分は将来何を仕事にしたいのかということで、法学部だったこともあり、何か法律系の仕事をしたいなと、いろいろ探していたのですけれどもなかなかなくて。
国家資格で調べているうちに通関士を知ったのですが、大学にはそういった通関士関係の講座はなかったものですから独学で勉強しました。3年のときに一度受けて落ち、4年のときに取りました。
就職活動のときは何も生かすことができなかったのですけれども・・・。取って、最初に入ったところも同じ通関業者で、2年半ぐらいいていまの職場に転職しました。ここで通関士をやって、もう6年ですかね。
司会: ありがとうございました。そうすると、棚橋さんが資格を取られてから一番キャリアがあるんですね。
棚橋: そうですね。通関に入ってから3年だから、通関士歴は10年ぐらいですかね。ほかの現場に行ったり、営業をやったりしましたので、それでもこのメンバーの中では一番長いかもしれません。
司会: では、実際に資格を取得されて仕事をしてみて、自分がイメージしていた職業とギャップとかありますか?もし、違和感みたいなものを感じられたことがあったならば教えていただけませんか。
木原: ギャップですか?
私が通関士という資格を意識し始めたのが入社してからでしたので、入社してから通関の部門の方々と関わりがあって、ベテランの通関士さんといつもやり取りをしていて、通関士とはこういうものかというのは結構始めから印象にあったので、あまりギャップはないです。
ただ、通関士は何でも知っている神様のような人だと思っていたので、まさか自分のような何の知識もない人間でもできるものだとは思っていなかったというのが、強いて言うならそれがギャップでしょうか ^^;
棚橋: 僕らの頃はバブル世代なので、新入社員の数も多く、平成4年は私も含めて、輸出通関課だけで5人も合格しました。でも、そのころの合格率は20%ぐらいあったのかな?
だから周りも面白がって、誰が落ちるとか落ちないとか、少し不謹慎ですが、賭けごとではないけど、そんなことをやってたりしてました ^^;
でも、実際通関士になってみると、書類を作ったり、税関へ立会に行ったりと、体を動かしてれば仕事になっていたそれまでとは違い、輸出にしろ、輸入にしろ、法律的なことを深く掘り下げないてやらないといけない。
私は、『関税六法』など、そこまで深く読んだことはなかったので、それはかなりギャップがありました。
司会: 青島さんはどうですか。学生の頃、すでに資格を取られていますが?
青島: インターネットなどで見ていたのですが、実際に海外からくる貨物を見たり、検査するというのをイメージしていたので、特にギャップ的なものはそんなに感じることはなかったです。
棚橋さんが言ったように法律なので、やっているときちんと法律に基づいた審査をしないと、きちんと理由があってこういうふうになっているということをもっと勉強しなくてはいけないと思いました。まあその辺が思っていた以上に、堅い仕事といえば堅い仕事だなというのはあります。
あとは、海外とのやり取りに関してもっとラフな感じなのかなと思ったのですが、そうではなかったというのがギャップだったのかな・・・
司会: 通関士という仕事は、まだまだ一般的には認知度が低いと思うんです。でも、就職活動を有利に進めようという理由で、資格取得を目指す学生も相当数いる。
確かに貿易立国である日本にとって重要な専門職であることは間違いありませんが、貿易業界で働くというだけで、商社マンみたいに語学が堪能で海外のビジネスマンと渡り合うみたいなイメージを持っている人って案外多いみたいです。
これから、通関士を目指す方たちに、「実際の仕事はこうなんだよ」みたいな、先輩からのひと言みたいなものがあればお聞かせ下さい。
木原: でも、英語ができたり、外国語ができたりするのは、けっこうアドバンテージだなと思っています。書類が外国語できているときがあって、ほとんど英語ですが、昨日はスペイン語もあって、読んでみたら商品のすごく詳しいことが書いてあって・・・得した気分になりました ^^
仕事を要領よく早く進めることができるし、商社のように外国人の方と華やかにやり合ってというのはないかもしれないですが、でも、貨物の情報などを見ることによって、世界を感じることはできるなと思って。私はけっこう内向きな人間なので、それで楽しんでいます ^^
司会: 船木さんは異業種から転職されたわけですが、通関士の仕事は最初のイメージと実際とではいかがですか?
船木: 書面で書かれていることを申告していくわけですけれども、ちょっとした記載とかあやふやな記載があるだけで、申告することが大きく変わってしまうこともあります。そういう点では書類自体を細かく吟味して、書類のチェックやら作成ができる人には向いた仕事だと思います。
なので、けっこう女性に合う仕事ではないかなということは感じました。
司会: こちらの会社では、通関士の資格を持たれいる方の男女の比率はどんな感じなんですか。男性のほうが圧倒的に多いんですか。
木原: 男性のほうが多くないですか?
船木: 多いんだっけ?
棚橋: 男性が多いね。
船木: 多い。そうですね。
山崎: 女性の絶対数が少ないというのもあるかもしれないですね。でも、合格者はけっこう女性が多いような気がしないでもない。
船木: はい、そんな感じがします。ですから、もっと女性通関士が増えてもいいのではないかと思います。
司会: ウチの職場でもそうなんですが、『能ある鷹』でじゃないけど、何かと女性の方が優秀ですよね ^^;
では、通関士になって良かった点というのをお一人ずつご披露していただけますか?
棚橋: 若干給料が上がる ^^
木原: たしかに ^^;
司会: ちなみに、どのぐらいの手当が加味されるのですか。
船木: 本当に気持ちです。
木原: 若干。
棚橋: ホント、若干です。数千円 ^^;
司会: 3000円とか7000円とかという数字をよく聞きますけど。。。
上席: 棚橋さんはつかないよ。
木原: えっ、そうなんですか?
棚橋: 私はつかないです。でも、通関士になったときはつきました。
船木: 管理職だから。
山崎: 課長になるとつかない。
木原: ええ?
船木: そうなんですか ^^;
棚橋: つかないよ。でもなったときは、少しうれしかった。
木原: 私も同期よりお給料が多いのかと思うと...^^
棚橋: そう。だから他の部署に行ったときに、それがなくなってしまったのでストンと落ちました><
木原: 飲み代2回分ぐらいがなくなってしまうんですか ^^;
司会: それは御社だけのお話ではなくて、同業の他社さんでもだいたいそういうものなんですか?部署が変わると、資格を持っていても手当がなくなってしまうとか・・・
棚橋: 会社によるのではないですかね。
上席: うちはあれだよ。通関だといくら、他部署だと有資格者はいくらみたいな・・・
棚橋: ああ、2段階ですね。
でも、僕が取ったころは、なかったですよね。今は他の部署に行っても、資格を取れば多少なりともあるのですが ^^;
上席 残業代にも、基本のところにオンされているからね。
木原: ああ、そうなんですね。
棚橋: ボーナスにも反映される。
船木: ああ、そうなんですか。
棚橋: 意外に同期よりいいかも ^^
木原: では私、同期よりお給料多いですね ^^ ラッキー ^^
司会: 山崎さんは、実際に資格を取られてみていかがですか?
山崎:

私は営業も長かったのですが、通関士の資格を取ったことで、輸出入に関しては一から十まで自分でやれるというのが大きかったです。地方では、営業と兼任でやっていたことがあるので、そうなると営業的なことから通関までを一連のラインでできるみたいなところはありました。輸出だったら、お客さんと打ち合わせをして、貨物を取りに行ってとか、そこから船に積むまでとか。
輸入だったら、船が着いてから配達するまで、全部一人でやろうと思えばできる。そういう面では知識の幅がかなり広くなったなと思います。

司会: 資格を取る前と取った後では全然違いますか?
山崎: 全然違います。
営業のときも通関部門が隣の島で、いつも書類を渡したりとか、いろいろ話などはしていたので、通関士を取った後のギャップというのはそんなに感じはしなかったのですが・・・
棚橋: あと、少し箔がつくよね。お客さんにも、「通関士の資格を持っています」と言うと、「ああっ、持ってるんですね」と ^^
山崎: 営業などで行って、名刺に通関士と書いてあると、「あっ」と、お客さんの見方も少し変わるのかなという感じはしました。
司会: それは社内でもそうなんですか?持ってる持ってないで、一目置かれるとかはないんですか?
青島: それははないでしょうね ^^; 「あっ、持ってるんだ・・・」ぐらい ^^;
船木: 言葉に出しているのを聞いたことない。
青島: ないですね。
司会: 木原さんはどうですか?実際に取られてみて。
木原: 私は意外に、「お仕事何をしているんですか?」と聞かれて、「通関士です」と言って、知らない人もたくさんいるのですが、でもそう言えるのが嬉しかったです。
それと、あまり知識のないことが悔しいなと思っていたのですが、通関士になってからは嫌でもいろいろ調べなくてはいけないし、いろいろ聞いて教わったりしたりで、かなり知識が増えたかなというのが、嬉しくて・・・ ^^
他の営業担当さんたちに、結構質問されたりするのですが、それに答えられないこともあるのですが、答えられることもあったりして、誰かの役に立てるようになったんだというのが素直に嬉しいです。
司会: 船木さんは?
船木: そうですね。やはり専門職なので、営業だとオールマイティな仕事、通関士となると突出したスペシャリストという仕事。ゼネラリストとスペシャリストの違いというところで、誇りとプレッシャーと、両方持ちながらできる、刺激のある仕事かなというので、こういう「士」のつく仕事に就けて良かったなと思います。
司会: 青島さんはいかがですか?
青島: 私はやはり商品知識が増えたこと、世の中にはこういうものがあったんだと、いろいろな商品やモノを知ることができたことです。
ただ、仕事をやっていて思うのは、通関士の資格を持っていても営業の人だって沢山いる訳です。そう考えると、通関士の仕事というのは、やはりごく限られた人しかすることができない。逆に私が今度違う部署へ配属になったら何ができるんだろうと考えると、逆に怖くなりますね。
本当に通関士だけで一生飯を食っていくんだという人に対しては、スペシャリストという意味で、改めて感じますけれども。
あと、まだ私は32ですが、30年通関士をずっとやるというのならいい仕事かもしれないですが、自分が40、50になって、ポンとそこを飛び出たら、自分は何ができるんだろう?という不安は少しあります。でも、いま仕事をやっているときは楽しいし、専門職ならではのやり甲斐とか生きがいといったものを感じます。
ただ、正直その後の不安もあるかな ^^;
To be Continued