WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました~中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制をWTO協定違反と判断~

WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました~中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制をWTO協定違反と判断~

種別 資料 出所 経済産業省 文書番号   文書日付 H26.04.11
WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました~中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制をWTO協定違反と判断~
WTO紛争処理小委員会報告書が公表されました
~中国のレアアース等原材料3品目に関する輸出規制をWTO協定違反と判断~

(経済産業公報4/11)((財)経済産業調査会)
〔(3月)通商政策局通商機構部参事官付〕

 

 WTOは、3月26日(ジュネーブ時間)、我が国、米国及びEUの申立てに基づきWTOで審理されてきた中国の原材料3品目(レアアース、タングステン及びモリブデン)に関する輸出規制について、紛争処理小委員会(パネル)の報告書を公表しました。同報告書は、中国の輸出規制について、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)第11条1項(輸出数量制限の禁止)及び中国のWTO加盟議定書第11条3項(輸出税の禁止)等に違反するとの我が国の主張を全面的に認めました。

 

1 経緯  

 中国は1999年以降、重要戦略的資源であるレアアース、タングステン、モリブデンにつき順次輸出数量制限を導入するとともに、2006年以降輸出税を賦課しています。中国は、2006年以降輸出割当数量を年々削減し、特に、2010年下半期の輸出割当を大幅に削減し、市場に混乱をもたらしました。こうした事態を受け、我が国は、2012年3月、中国による輸出数量制限、輸出税の賦課等の輸出規制は、WTO協定に違反するものとして、WTO協定に基づく協議要請を行いました。

 しかし、中国との協議で満足できる解決が得られなかったことから、我が国は米国及びEUと共に、2012年5月、準司法的手続であるWTO紛争処理委員会(パネル)の設置を要請し、これを受け、2012年6月にパネルが設置されました。

 その後、2013年2月及び6月にパネル会合(口頭弁論)が開催され、このたび、WTOは、本件についてのパネルの判断を公表しました。

 

2 パネルの判断内容

 パネル報告書は、日本の主張を全面的に認め以下のように判断し、中国にWTO協定に従って措置を是正するよう勧告しました。

  • 中国の輸出数量制限はGATT11条1項に規定される数量制限の禁止に抵触する。当該輸出数量制限は、GATT20条(g)項に規定される有限天然資源の保全に関する措置とはいえず、正当化されない。
  • 中国の輸出税は、中国加盟議定書11条3項に規定される輸出税の賦課禁止に抵触する。中国は、中国加盟議定書11条3項との関係ではGATT20条(正当化事由)を援用することはできない。仮に援用できたとしても、中国の輸出税はGATT20条(b)項に規定される環境保護のために必要な措置とはいえず、正当化されない。
  • 中国の最低資本金及び輸出実績要求といった貿易権の制限は、中国加盟議定書5条1項及び作業部会報告書83条、84条に規定される貿易権の制限の禁止に抵触する。当該貿易権の制限は、GATT20条(g)項に規定される有限天然資源の保全に関する措置とはいえず、正当化されない。

 

3 今後の予定

 当事国は、公表から60日以内にWTO上級委員会に対して上訴することが可能です。上訴が無い場合には、パネル報告書の内容でWTOとしての判断が確定することとなります。

 

(参考)WTO紛争処理小委員会(パネル)について

 政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事者は、上級委員会(第2審)に審理を要請することができます。