スペイン、中華人民共和国及び南アフリカ共和国を原産地とする電解二酸化マンガンについて関税定率法第8条第25項の規定により不当廉売関税を課する期間を延長することが決定した

スペイン、中華人民共和国及び南アフリカ共和国を原産地とする電解二酸化マンガンについて関税定率法第8条第25項の規定により不当廉売関税を課する期間を延長することが決定した

種別 告示 出所 財務省 文書番号 第69号 文書日付 H26.03.05
スペイン、中華人民共和国及び南アフリカ共和国を原産地とする電解二酸化マンガンについて関税定率法第8条第25項の規定により不当廉売関税を課する期間を延長することが決定した件(財務省告示第69号)
スペイン、中華人民共和国及び南アフリカ共和国を原産地とする電解二酸化マンガンについて関税定率法第8条第25項の規定により不当廉売関税を課する期間を延長することが決定した件

(財務省告示第69号・H26.03.05)

 

 南アフリカ共和国、中華人民共和国及びスペイン各国産電解二酸化マンガンに係る関税定率法第八条第二十七項に規定する調査開始の件(平成二十四年財務省告示第三百四十一号)で告示した関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第八条第二十七項の調査の結果、スペイン、中華人民共和国及び南アフリカ共和国を原産地とする電解二酸化マンガンについて、同条第二十五項の規定により不当廉売関税を課する期間を延長することが決定されたので、不当廉売関税に関する政令(平成六年政令第四百十六号)第十六条第一項の規定に基づき、次のとおり告示する。

 

一 関税定率法(以下「法」という。)第八条第一項の規定による指定に係る貨物の品名、銘柄、型式及び特徴

(一) 品名 電解二酸化マンガン
(二) 銘柄、型式 法の別表第二八二〇・一〇号に掲げる二酸化マンガン(電気分解の工程を経て製造したものでない旨が経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の発給する証明書により証明され、かつ、当該証明書が財務省令で定めるところにより税関長に提出されたものを除く。)
(三) 特徴 主として、電池の材料に用いられる。

二 法第八条第一項の規定による指定に係る貨物の供給国

スペイン、中華人民共和国(以下「中国」という。)及び南アフリカ共和国(以下「南アフリカ」という。)

三 法第八条第一項の規定により指定された期間

平成二十年九月一日から平成三十一年三月四日までの期間(法第八条第二十五項の規定に基づき平成二十六年三月六日より延長される期間を含む。)

四 調査により判明した事実及びこれにより得られた結論

(一) 本件調査の対象となる貨物(以下「調査対象貨物」という。)

指定貨物(電解二酸化マンガンに対して課する不当廉売関税に関する政令(平成二十年政令第百九十六号)第一条第一項第一号に掲げる貨物であって、同項第二号に掲げる国を原産地とするものをいう。)のうち、オーストラリアを原産地とするもの以外のもの

(二) 本件調査の対象となる期間(以下「調査対象期間」という。)

イ 不当廉売された調査対象貨物の輸入が指定された期間(電解二酸化マンガンに対して課する不当廉売関税に関する政令第一条第一項第三号に掲げる期間をいう。以下同じ。)の満了後に継続し、又は再発するおそれに関する事項 平成二十三年四月一日から平成二十四年三月三十一日まで(ただし、不当廉売関税に関する政令第二条第三項に規定する「特定貨物の生産及び販売について市場経済の条件が浸透している事実」(以下「市場経済の条件が浸透している事実」という。)に関する事項については、平成十九年四月一日から平成二十四年三月三十一日まで)

ロ 不当廉売された調査対象貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれに関する事項 平成十九年四月一日から平成二十四年三月三十一日まで

 (三) 不当廉売された調査対象貨物の輸入が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれに関する事項

調査当局が知り得た供給者に対して質問状を送付したが、指定された期限までに必要な情報が提供されなかった者については、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(以下「ダンピング防止協定」という。)第六・八条に規定する「知ることができた事実」に基づき、不当廉売された調査対象貨物の輸入が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれについて認定した。

イ 不当廉売された調査対象貨物の輸入の事実(以下「不当廉売の事実」という。)

法第八条第一項に規定する「不当廉売差額」は、原産国における消費に向けられる調査対象貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格の加重平均(以下「正常価格」という。)と、本邦への輸出のために販売された調査対象貨物の価格の加重平均(以下「輸出価格」という。)との差額とし、不当廉売差額を輸出価格で除して不当廉売差額率を算出することとした。

ただし、正常価格については、原産国における消費に向けられる調査対象貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格がない場合には、原産国から本邦以外の国に輸出される同種の貨物の輸出のための販売価格(以下「第三国向け輸出価格」という。)とすることとした。また、中国を原産地とする調査対象貨物の正常価格については、不当廉売関税に関する政令第二条第三項の規定に基づき、市場経済の条件が浸透している事実があることを明確に示すことができない場合には、中国と比較可能な最も近い経済発展段階にある国(以下「代替国」という。)における消費に向けられる調査対象貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格又は代替国から輸出される調査対象貨物と同種の貨物の輸出のための販売価格のいずれかの価格(以下「代替国販売価格」という。)を用いることとした。

(イ) スペイン

調査当局が知り得た供給者に対して質問状を送付したが、指定された期限までに必要な情報が提供されなかったことから、知ることができた事実により、不当廉売の事実を検討することとした。この場合において、正常価格算出のため第三国向け輸出価格を用いて、不当廉売差額率を算出した結果、十二・〇四パーセントであり、スペインを原産地とする調査対象貨物について不当廉売の事実が認められた。

(ロ) 中国

A 供給者

調査当局が知り得た供給者に対して質問状を送付したところ、南アフリカ共和国、オーストラリア、中華人民共和国及びスペイン各国産電解二酸化マンガンに係る関税定率法第八条第五項に規定する調査開始の件(平成十九年財務省告示第百六十五号)で告示した法第八条第五項の調査(以下「当初調査」という。)において必要な情報が提供された、調査対象貨物の生産者である貴州紅星発展大龍?業有限責任公司(以下「紅星大龍」という。)及びその輸出者である貴州紅星発展進出口有限責任公司(以下「紅星進出口」という。)並びに当初調査において必要な情報が提供されずその他の供給者とされた者のうち調査対象貨物の生産者である広西桂柳化工有限責任公司(以下「桂柳化工」という。)及びその輸出者である広州住友商事有限公司(以下「広州住商」という。)から指定された期限までに必要な情報が提供された。また、その他の者については、指定された期限までに必要な情報が提供されなかった。

B 正常価格

正常価格の算出に当たり、調査当局が知り得た供給者に対して市場経済の条件が浸透している事実に係る質問状を送付したところ、紅星大龍及び桂柳化工から回答が得られたため、当該事実について検証を行ったが、紅星大龍及び桂柳化工は当該事実があることを明確に示すことができなかったと認められた。したがって、紅星大龍及び桂柳化工を供給者とする調査対象貨物の正常価格については、代替国販売価格を用いることとした。

C 輸出価格

紅星大龍を供給者とする調査対象貨物の輸出価格については、紅星進出口の本邦向け輸出取引価格を用いることとした。

桂柳化工を供給者とする調査対象貨物の輸出価格については、輸出者である広州住商が輸入者である住友商事株式会社(以下「住商」という。)と連合していることから、広州住商及び住商と連合していない者に対して本邦内において最初に販売される調査対象貨物の販売価格に基づき算出される価格を用いることとした。

D 不当廉売差額率

紅星大龍を供給者とする調査対象貨物について不当廉売差額率を算出した結果、五十乃至百五十パーセントであり、不当廉売の事実が認められた。また、当初調査において必要な情報が提供されなかったその他の供給者のうち、桂柳化工を供給者とする調査対象貨物について不当廉売差額率を算出した結果、百乃至二百パーセントであり、不当廉売の事実が認められ、その他の者を供給者とする調査対象貨物については、知ることができた事実として桂柳化工についての事実に基づき不当廉売差額率を判断した結果、不当廉売の事実が認められた。

(ハ) 南アフリカ

調査当局が知り得た供給者に対して質問状を送付したが、指定された期限までに必要な情報が提供されなかったことから、知ることができた事実により、不当廉売の事実を検討することとした。この場合において、正常価格算出のため第三国向け輸出価格を用いて、不当廉売差額率を算出した結果、十三・二三パーセントであり、南アフリカを原産地とする調査対象貨物について不当廉売の事実が認められた。

ロ 不当廉売の事実が継続し、又は再発するおそれ

各供給国を原産地とする調査対象貨物について不当廉売の事実があることに加え、各国の供給者には相当程度の余剰生産能力があり、追加的な増産を吸収できる自国市場及び海外市場は存在しない状況が認められた。

以上から、不当廉売の事実が指定された期間の満了後に継続するおそれがあると認定した。

(四) 不当廉売された調査対象貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれに関する事項

イ 不当廉売された調査対象貨物の輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実(以下「不当廉売輸入による損害の事実」という。)

(イ) 本邦における調査対象貨物の輸入量は、現行の不当廉売関税に係る措置により、一旦は大幅に減少したものの、その後、本邦生産者の国内販売量を奪いつつ急速に増加しており、本邦の産業の同種の貨物と引き続き競争状態が認められる。

(ロ) 本邦の産業に与える損害に係る指標のうち、調査対象貨物の輸入の増加の影響を受け、販売量、売上高、利潤、生産高(生産量)、市場占拠率、生産性、投資収益、稼働率、在庫の各指標が悪化しており、本邦の産業は損害を受けやすい脆弱な状況にある。

ロ 不当廉売輸入による損害の事実が継続し、又は再発するおそれ

(イ) 調査対象貨物の本邦における販売価格は、指定された期間が満了した場合には、現行の不当廉売関税と同等程度下落しうると考えられる。

(ロ) 四(三)ロのとおり、各供給者の余剰生産能力は本邦以外の市場に振り向けることが難しい状況にあるが、一方で、本邦の市場は現状以上に拡大するとは考えにくいことから、指定された期間が満了した場合に、本邦の産業が現在の国内販売量を維持するためには、現在の国内販売価格について、少なくとも直ちに現行の不当廉売関税と同等の値下げを余儀なくされると推定される。

(ハ) その結果、本邦の産業は、製造コストとの比較において、極めて困難な国内販売価格の設定を強いられることになるため、たとえ生産高(生産量)及び国内販売量が平成二十三年度並に維持されるとしたとしても、営業利益の悪化、雇用・賃金の悪化、研究開発費の削減、融資条件の悪化による資金調達力の低下、収入の減少を原因とするキャッシュフローの悪化を招き、ひいては追加設備投資もできなくなると推定されることから、本邦の産業は事業継続が極めて困難になると考えられる。

(ニ) 以上から、不当廉売輸入による損害の事実が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあると認定した。

(五) 調査により得られた結論

以上から、不当廉売の事実が指定された期間の満了後に継続するおそれがあり、また、不当廉売輸入による損害の事実が指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあると認められたことから、不当廉売関税を課する期間を延長し、三のとおりとすることが決定された。

五 その他参考となるべき事項

ダンピング防止協定第十二・二条の規定に基づき公表される調査当局の認定及び結論の詳細を記載した報告書は、財務省及び経済産業省並びに当該各省のホームページで入手することができる。