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東京レポート(2009/10/14)

教育セミナーレポート「東京港実施研修」

開催日 2009年10月14日 参加者19名

見学コース
東京税関(通関実務室、検査場、資料展示室)⇒大型X線検査センター⇒テレコムセンター展望台にて昼食⇒竹芝桟橋(新東京丸乗船)⇒大井ふ頭(商船三井コンテナヤード施設)

10月14日(水)、江東区青海にある東京税関合同庁舎にて、税関広報広聴室長の細藤様より東京税関の現況についてお話を伺った。まず、税関広報作成のビデオを用いて、実際に税関で行われている業務について学習。ビデオの中では、早稲田大学教授の吉村作治さんが登場し、輸出と輸入の流れについてわかりやすく解説していた。そこでは、9.11米国同時多発テロを発端とする輸出入貨物の『セキュリティ対策』と輸出入者のすべてが望む『迅速な通関』の双方を両立するために、税関職員が懸命に取り組んでいる姿が把握できた。

 

東京税関には、全国の税関をとりまとめるAEOセンターが常設されており、続いて、同センター長の岸間様より、AEO制度への取り組みについてお話を伺った。AEOとはAuthorized Economic Operatorの略で、一定期間法令違反がない、業務遂行能力を有している、コンプライアンス(法令遵守)規則を定めているなどの要件を満たしている事業者をあらかじめ認定し、認定された事業者は、税関における審査・検査が軽減されるなどの便益が受けられる制度である。現在、日本では、輸入者向け、輸出者向け、倉庫業者向け、通関業者向け、運送者向け、そして製造者向けのそれぞれ6つのAEO制度が設けられている。2009年10月12日現在、輸入者向けのAEO制度(特例輸入申告制度)の承認者数は72者、以下、輸出者向けの特定輸出申告制度は225者、倉庫業者向けの特定保税承認制度は68者となっている。

海外とのAEOの相互承認状況をみてみると、ニュージーランドとの相互承認では、一方のAEO輸出貨物について他方の輸入時に審査・検査が軽減される。アメリカでは、輸入者向けのAEO制度しか設けられておらず、2009年6月より日米間において、相互承認が開始されてはいるものの、アメリカからの輸出についてはAEOの認定はないのであるから、アメリカからの貨物については日本での輸入時にこれまで通り、リスクマネジメントに基づく審査・検査が行われている。アジア企業との取引を行っている参加者からは各国とのAEO相互承認協議の進展状況等に関する質問が相次いだ。マレーシアでは、AEO制度があるようだが、まだ制度の調査段階である。一方、シンガポールにおいては、きちんとしたAEO制度があるようで協議が本格化すれば相互承認協議の進展は早いかもしれないとの見方が示された。

 

次に、広報室の山本様の案内により通関事務室及び検査場を見学。東京税関本関では、今まで午前9時から17時までだった通関を、現在、24時間フルタイム可能とした。税関検査において、貨物にX線を照射し、疑わしき影が映るものについては、中身を開披検査することになる。申告内容と中身がきちんとあっているかどうかの確認が綿密に行われる。なかには貨物の密度によって映る影が変わってくるものもあるという。通常は、午前中の早い時間に開披検査が行われることが多く、見学時には、ふとん挟みが入っている箱が開封され中身の確認が行われていた。

また、税関では、麻薬、覚せい剤や拳銃などの水際取締りにも日々力を注いでいる。資料展示室では、婦人用の靴の底に麻薬を隠匿したケースなど、実際に摘発された数々の事例を拝見できた。また、マンゴーなどのフルーツが入った缶詰の中に麻薬を隠匿する事例もあり、普段、マンゴーが輸入されない国からこういった缶詰の輸入があった場合などは極めて高い確率で隠匿物が見つかるとのことであった。なお、税関ではX線による検査に加え、麻薬探知犬による検査も行われている。

 

続いて、大型X線検査ができる東京税関コンテナ検査センターを視察。東京港の外貿コンテナ貨物の増大とリードタイムの縮小に対応するため運用が開始された施設である。東京税関監視部白石様ご案内のもと、検査待ちコンテナ駐車場にて待機していたトレーラーがコンテナごと大型X線装置の中に入り検査が行われていた。X線については、上からと横からの2方向から照射が可能である。検査場内は、厚い扉で閉じられ、X線が照射されている間は、トレーラーの運転手は別の安全な通路を歩いて通過するといった仕組みだ。運転手の待合室では、検査終了の目安が電光掲示板で表示される。検査で異常があった場合は、開披検査場にて検査がおこなわれるのだ。実際、施設内には、ドライ貨物の検査場と冷凍冷蔵貨物の検査場が常設され、冷凍庫の温度は-20℃になるよう管理徹底されていた。

違反の事例としては、タンスの中に麻薬を隠匿して輸入する、また、モーターボードのボディー内に銃器を隠匿して輸入するなどの事例があった。税関では、日本全国の税関のみならず世界各国の税関とも連携して隠匿方法の情報を共有し、今後もスクリーニング検査及びスキャニング検査を徹底していく方針だ。
また、検査センターでは、環境に対する対策も行われている。太陽光発電の装置が設置されているほか、風が建物全体に行き渡るようにした特殊な屋根を取り入れることにより、冷暖房費のコストダウンをはかっている。

 

昼食後、竹芝桟橋へ向かい、東京都港湾局所有の視察船『新東京丸』に乗船した。竹芝埠頭を出発点として、雄大な東京港を一望。船は芝浦ふ頭、日本初のコンテナ船供用を開始した品川ふ頭を抜けて、大井ふ頭へ。コンテナ船の大型化に伴い、岸壁の拡張も行われ、現在、大型コンテナ船が同時に7隻も着岸できるまでになった。着岸しているコンテナ船にはコンテナが5段積まれているのが拝見できたが、実は目に見えない船の底の部分にあと9段ものコンテナが積まれているのである。東京港に入港できる船は8万トン前後のクラスの船で、1回の航海で20ft換算にして実に7,000個前後ものコンテナを輸送できるという。

 

また、東京港は、羽田空港が隣接しているため、建築物すべてに高さ制限がある。事実、航空規制により、空港により近いふ頭においては、ガントリークレーンも約92mの直立式が設置できず、約60mの中折れ式となっている。羽田空港を離発着する飛行機は一日に、離陸500回、着陸500回といわれ、実際に、羽田に飛行機が着陸して2分も経過しないうちにもう次の飛行機が離陸するといった光景が船上からも繰り返し拝見できた。船が進むにつれ、東京港には、こんなにも広い埋め立て地があったのかと改めて驚かされた。今後、数年内に埋め立てられる計画はあるものの、近年では、廃棄物のリサイクル化や焼却技術の向上により、埋め立てに回る廃棄物の量が減っているのだという。その後、お台場ライナーふ頭、青海ふ頭を抜け、築地市場の移転予定地となっている豊洲地区をまわり、再び竹芝桟橋にて下船した。

 

最後に、株式会社商船三井が運営する東京国際コンテナターミナル(TICT)を視察。1971年、大井ふ頭の開業とともに運営が開始され、今日まで30年を超える歴史を誇っている。現在のターミナルは、コンテナ船の大型化と輸出入貨物の増大に伴い2001年10月に改装されたものだ。国際コンテナターミナル株式会社の従二様ご案内のもと、まず、ビデオを用いて、大型コンテナ船が入港してから貨物が市場に流通するまでの一連の流れを学習した。(株)商船三井では搬入・搬出ゲートを合わせて15レーン所有しており、新ゲートシステムを採用している。これにより、輸入貨物の受け渡し確認では、従来書面にて確認していたものをSEA‐NACCSを使用した事前登録に変更することでペーパーレス化を実現。また、輸出貨物においても、トレーラーでの搬入時にカメラが読み取るコンテナ番号で情報を自動検索することで事務処理速度が格段に向上した。

 

また、コンテナ船の大型化に対応するため、行政と協力をはかりながらバースの拡張や岸壁の補修工事が行われ、コンテナヤード内の面積は以前に比べ3割増になった。現在、ターミナル内には、20ft換算でコンテナが約17,000個蔵置できるようになっている。
コンテナについては、日本では20ftと40ftの2種類が使用されている。通常のコンテナ以外にも、生きた動物などの運搬に用いられるオープントップコンテナ、台座だけのコンテナ、液体を入れるための専用コンテナ、冷凍冷蔵貨物用のリーファーコンテナなど様々なコンテナがある。コンテナのメンテナンスは必要不可欠であり、ターミナル内には、洗浄場や修理場も常設され、常に万全の態勢が取られていた。さらに、TICTでは、トレーラーなどの車両待機スペースも確保され、周辺道路の渋滞緩和への一役を担っている。
今回の研修の最終地として、コンテナヤード内にて実際にコンテナが船に積み込まれる場面を間近に見ることができた。まさにこのセミナーならではのクライマックスシーン!先程、新東京丸の船上から大井コンテナふ頭を眺めてはいるものの、実際に頭上高くそびえる大型船内にコンテナをつり上げるガントリークレーンの巨大さに圧倒され、参加者からは感嘆の声が漏れた。その後、新ゲートシステムをトレーラーが通過する姿を見学したあと、コンテナターミナルをあとにし本日のセミナーは終了した。

普段、机上の業務においてはあまり触れることのない実際の貨物の現場を拝見でき、ご参加いただいた多くの方から賞賛のお言葉をいただきました。今回のセミナー運営が成功裏に終了しましたことを、ご協力いただきましたすべての方々に厚く御礼申し上げます。 (財)日本関税協会では、今後も実地研修セミナーを開催する予定となっております。詳細決まり次第告知させていただきますので、当会のセミナーへのご参加をご検討いただけましたら幸いです。