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成田レポート(2009/6/16)

教育セミナー「成田空港実地研修」

開催日 2009年6月16日 参加者45名

見学コース
麻薬探知犬訓練センター⇒動物検疫所⇒植物防疫所⇒成田航空貨物出張所⇒共同上屋ビル⇒貨物地区 

6月16日(火)曇り空の中、バスは成田空港へ向けて出発。まず車中にて、成田国際空港株式会社(NAA)が作成したビデオを使って『輸入貨物の流れ』について学習した。内容は、日本に住む親子がインターネットでフランスからセーターを購入し、それが実際に日本の自宅に届くまでの流れを追ったもの。実際に成田空港に到着した航空機から貨物の取卸が行われ、貨物が搬入された輸入上屋では、仕分、通関業者による内容点検が行われたのち、税関への輸入申告がなされ、税関の審査後、税関の許可を経たあとに貨物は搬出、日本の自宅に届くといった一連の流れをわかりやすく説明したものであった。

続いて、成田国際空港株式会社(NAA)の武次マネージャー及び七五三野副主幹より、成田空港貨物ターミナルについての概要説明が行われ、1978年5月に供用が開始された第1貨物ビルから2008年10月に供用が開始された一番新しい全日空入居の第7貨物ビルまでの貨物地区、また、実際に当日見学に訪れる予定の動物検疫所、植物防疫所がある官庁合同庁舎の概要も把握できた。成田空港における2008年の輸出額、輸入額は共に約11兆円で、世界不況の影響や円高により前年よりは額が減少しているものの、日本の空港の国際貨物取扱量において、関西空港の23.9%、中部国際空港の6.2%を抑え、成田空港は67.1%と約7割のシェアを誇っている(2007年)。また、金額ベースでは、海運を含めたすべての港の中でも、成田空港の輸出額は128,882億円(2007年)と第2位の名古屋港の輸出額(117,097億円)を抑え、第1位となっているとのこと。(輸出・輸入ともに第1位)

世界の他の空港と比べてみると、成田空港は、ロンドンのヒースロー空港とほぼ同じ面積であり、貨物取扱量においては、香港空港(3,742千トン)、仁川空港(韓国)(2,524千トン)に次いで第3位の2,212千トン(2007年)である。しかしながら、昨年秋以降の世界同時不況の影響等による貨物量の減少で、現在、貨物上屋の入居率は約80%であるとのこと。現在、成田空港には、670を超える事業者が入居しており、働いているひとの数は、約48,000人、そのうち貨物地区では約9,000人のひとが働いているとのことであった。

午前中、最初に見学に訪れた東京税関監視部麻薬探知犬訓練センターでは、寄木麻薬探知管理官が案内を担当。最初にビデオによって、センターでの活動内容をひととおり学習したあと、実際の犬舎や訓練風景を見学した。
麻薬探知犬は増大する麻薬の密輸入を防止する目的で昭和54年にアメリカの協力により2頭を導入したのが始まりとのこと。麻薬探知犬はハンドラーと呼ばれる税関職員によって4ヵ月に渡る訓練をしたのち全国9箇所の税関に配備されるという。どの犬でも探知犬になれるわけではなく、やはり適した犬だけが麻薬犬になれるそうだ。
タオルを巻いたダミーと呼ばれるものを使って訓練をし、それを見つけるとハンドラーがその都度褒める。ダミーを見つけると褒めてもらえることから犬の本能である獲得欲をダミーに向けさせ、次第にこのダミーに麻薬の入った袋を結び付けることで犬はダミーと麻薬を関連付けて覚えていく。最初は、匂いの強い大麻樹脂から訓練はスタート、のちに覚せい剤やコカインなどの匂いを覚えさせる。また、近年は、国際的なテロ行為に対抗するため、爆発物の匂いをかぎ分ける探知犬を配備しているとのことだった。
実際の見学では、黒いシェパードがハンドラーとともに登場し、10個ある箱の中からみごとに麻薬が隠された箱を見つけ出すことに成功!これには、参加者からも大きな歓声が上がり、見つけたあとは、ハンドラーが探知犬をめいっぱい褒める光景がみられた。
探知犬は朝8時30分から訓練を開始し、ご飯は1日夕方に1回だけ。7年~8年活躍するという。引退後は、税関職員や元ハンドラーに引き取られて一生を過ごす場合が多いとのこと。探知犬は今日も全国の税関にて日夜活動を続けている。

 

昼食を挟み、午後は成田空港貨物ターミナル地区にある農林水産省動物検疫所成田支所、農林水産省横浜植物防疫所成田支所を見学。人数制限の関係上、A班とB班で15名ずつに分かれ入れ替にて見学した。まず、動物検疫所では、渕上調整指導官より案内があり、実際に成田空港に到着した食肉、加工品等が検査場に運び込まれ、職員立ち会いのもと、申請者の方とともに検査を行っている光景を拝見した。ここで検疫を受けて不合格となれば焼却等の措置の選択となる。最近では、ホルマリンガスによる燻蒸消毒の必要な貨物の消毒後の解放作業において、以前にも増して関係法令に従い、作業者の健康を守るため濃度の測定を行うなどの対策が講じられているとのこと。
また、動物検疫では、海外赴任等で往来する犬や猫等のペットなども検疫を受けている。興味深いことに、犬の首のうしろの皮下挿入された非常に小さなマイクロチップの番号で個体確認が行われているとのことであった。

 

続いて、植物防疫所を見学。最初に曽根次長よりビデオを用いて植物検疫の概要についてご説明いただいたあと、藁谷統括植物検疫官の説明により実際の検疫の現場を視察した。ある国では何も被害がない虫であっても、それがある国では植物に甚大な被害をもたらすといったケースが植物防疫の顕著な例であり、かつて、ドイツがフランスからのぶどう苗の輸入を禁止したことが植物検疫のはじまりだと言われている。現在、日本国でも疑わしき植物、果実などは水際でせき止めるといった措置がとられている。
実際に植物検疫に運ばれてきた貨物のうち、合格のもの、燻蒸したのちに合格となるもの、不合格のため廃棄となるものがあった。成田空港内の植物防疫所では、年間27万件を超える植物を検査しており、そのうち、切り花や種苗、球根、果実が22万件、香辛料その他で5万件とのことであった。切り花に関しては、年間で実に5億本もの量が輸入されている。輸入される切り花については時期によって変動があり、カーネーションについては、母の日の5月に輸入が集中し、中国やコロンビアからのものが多く、ランなどについては、1年を通してコンスタントに輸入されているとのこと。
このようにかなり多くの貨物を検査することから、輸入業者は待ち時間が長く、不都合を強いられていたが、近年、所内の電光掲示板には、検査内容と終了予定時間が逐一表示されるようになった。これは輸入業者にとっても、大きなメリットになった。

 

続いて、東京税関成田航空貨物出張所にて、航空貨物の輸入手続の流れについて菊地総務課課長補佐より説明を受けた。ビデオを用いて説明が行われ、その中では、通関業者での仕事の流れが紹介された。航空機の到着後、貨物の取卸が行われ、仕分場にてAWBナンバーに分類、仕分した貨物とエアラインからのマニフェスト(積荷目録)が照合され、個数やダメージなどが確認された後、確認結果がNACCSに登録され、内容点検、税関検査を経た上で初めて貨物の搬出が行われることになる。
生鮮品など緊急性のあるものから優先的に通関され、書類においても、エアラインからのマニフェスト、ハウスエアウェイビル、混載貨物での貨物引き渡し指示書のほか、様々な書類によって確認作業が行われ、いかに効率的に処理されているかが把握できた。
ビデオ視聴後は、実際の税関検査の現場も見学。午前中の訓練センターでは、訓練風景を拝見したが、シェパードの麻薬探知犬が実際の税関検査の現場で活躍している姿を見ることができた。

その後、輸入共同上屋ビルに移動し、国際空港上屋(株)総務部熊沢氏が説明を担当。保税上屋においては、エアラインのマニフェストに沿って貨物を確認し、荷主のリクエストに応えることが重要な任務となる。荷主より貨物を常温にて保管との指示があれば、それに従い、また、貨物をマイナス15℃で保管との指示があれば、それに従うとのことであった。上屋内には、マイナス15℃、マイナス5℃、プラス10℃といった具合に様々な温度の冷蔵庫があり品質管理が徹底され、この時期は7月中旬までアメリカからのチェリーでいっぱいになるとのこと。

到着時に貨物にダメージがあった場合、最近では、デジカメで撮影し、それをメールで送付することにより、フォワダーへの確認時に使用している。ダメージについてはエアライン側に責任があり、上屋では逐一エアラインに報告をしているとのことであった。また、数々の貨物については、すべてフォークリフトを用いて運搬作業が行われており、上屋内では、数十台のフォークリフトが行き交う光景がみられた。あれだけ多くの作業車が行き交うなかで、参加者より、運搬作業上での事故についての懸念があったが、職員が危機意識をしっかり持つことによって、事故を起こさないよう管理は徹底されているとのことであった。

上屋をあとにし、再びバスにて貨物地区各施設を車窓から眺めながら三角地の場所を見学したのち、空港内をバスで走行。車窓から離発着する航空機をすぐ横に眺めることができ、間近でみる航空機のエンジン音とその迫力に圧倒され、多くの参加者から感嘆の言葉が漏れた。まさにこのセミナーにおけるクライマックスシーン!成田空港から離れることを惜しまれつつも、2008年10月より供用を開始した全日空(株)の入居する第7貨物ビルを車窓より眺め、実地研修は終了した。

【研修を終えて】
普段あまり触れることのない実際の貨物の現場を拝見でき、ご参加いただいた多くの方から賞賛のお言葉をいただきました。一日中雨が降ることもなく、今回のセミナー運営が成功裏に終了しましたことを、ご協力いただきましたすべての方々に厚く御礼申し上げます。
(財)日本関税協会では、今秋にも、現場視察のセミナーを開催する予定となっております。詳細決まり次第告知させていただきますので、当会のセミナーへのご参加をご検討いただけましたら幸いです。