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横浜レポート(2009/6/5)

教育セミナーレポート「横浜港実地研修」

開催日 2009年6月5日 参加者45名

見学コース
万国橋会議センター⇒横浜税関展示室⇒海事広報艇はまどり乗船⇒大黒埠頭⇒YCC(横浜ポートカーゴセンター)⇒横浜(大黒C4)コンテナターミナル

6月5日に行われた研修には、様々な業種のお仕事に就く45名の皆さまにご参加いただきました。
当日はあいにくの雨で、海事広報艇『はまどり』の船上からの眺めは今一つでしたが、徒歩で移動する距離が短いコースでしたので、雨天による影響はほとんどありませんでした。

午前9時に、海岸通りの「万国橋会議センター」に集合。
初めに、横浜市港湾局誘致推進課課長の大濱宏之様より、横浜港の概要について講義を受けました。
輸入の取扱量が多い東京港に対して、横浜港は輸出対応型の代表的な港であること、また国内大手自動車メーカーの工場が港に隣接していることもあり、輸出全体の5割を自動車(部品を含む)が占めるという点が特徴です。
そして何と言っても横浜は港街!市内で働く人の約3割もが、何らかの形で横浜港に関係しています。

 

次に、横浜税関広報広聴室の木村康広広報官より、横浜税関の概要と水際取締りについての講義を受けました。近年、アジア地域の諸港の躍進により、京浜港(東京港、横浜港、川崎港)の取扱量の国際的な順位は年々低下しているそうです。利便性の向上により国際競争力を高めるなど、世界ランキングの順位の巻き返しに向けて、現在も様々な戦略が打ち出され実施されています。何せ、10万トン級の船が一隻入港すると、トン税(船にかけられる税金)その他で1,500万円もの経費がかかるのだそうです。そのトン税は国と地方公共団体に収まるのですから、横浜港を世界中からたくさんの船が集まる魅力的な港にすることで、国に利益がもたらされ、私たちの街も暮らしも豊かになるのですね。
他にも、海難事故の生々しい写真の解説や、密輸現場を昼夜張り込む税関職員のご苦労など、ふだん私たちが新聞やテレビのニュースでは知ることのできないお話を伺い、ときに思わず緊張する場面もありました。
また、後を絶たない偽ブランド品の密輸入に関する説明に合わせて、有名ブランドの財布やバッグの真正品(ホンモノ)と模倣品の両方が受講者に回覧されました。税関の検査官のように、品物に直接触れて比較するというような機会は日頃私たちにありませんので、この体験はとても印象に残りました。広報官のジョークを交えた歯切れのよいお話に聞き入っているうちに、1時間があっという間に経過しました。

 

午前の聴講後にお弁当とお茶が配られ、館内でお昼休憩。昼食後は、徒歩で横浜税関庁舎1階の税関資料展示室へと移動しました。
ここからのガイドは、NPO法人「クイーンの塔」事務局の高橋正典様です。テーマごとに区分けられたそれぞれの展示コーナーで、高橋氏を囲んで集まる参加者の皆さん。横浜港の貿易の歴史にまつわる話にはじまり、税関の仕事や役割、ワシントン条約等について、とても分かり易く熱のこもった説明を受けました。

展示室内は落ち着いた内装で、照明や配置にも見学者の目を引くための様々な工夫が施されています。なかでも印象的だったのは、通路床面の数か所に透明な四角形の板が組み込まれ、この板の真上から床下に展示された輸入禁制品の麻薬やけん銃などを覗くことができるコーナーでした。

そして、密輸の手口です。大きな陳列棚の中では、摘発された物品の密輸の手段や方法が具体的にわかるように配置されており、それらがどのように加工・隠匿されて国内に持ち込まれたのか、過去の事例も交えて詳細に解説していただきました。

 

展示室の見学後は、大桟橋に移動して海事広報艇『はまどり』に乗船しました。船内では、(社)横浜港振興協会の女性担当員による詳しいガイドがありました。鶴見つばさ橋はYの形、横浜ベイブリッジはHの形を描き、それぞれがYOKOHAMAのYとHを表しているそうです。
残念ながら船上からの眺めは雨天でどんよりしていましたが、遠くに見える赤レンガ倉庫や沖に浮かぶ大型の貨物船など、雨の港にもなかなかの風情がありました。
湾岸の指定保税地域にずらりと整列する自動車を見ると、ずいぶん活気付いた様子が感じられるのですが、午前に聞いていた大濱氏の説明によると、好況時の半数だということでした。昨年秋以降の世界的不況は、横浜港の輸出貨物取扱量にも大きな影響を及ぼしています。

 

約60分のクルージングを終えて、大型バスで大黒埠頭に移動。「大型X線検査装置」を車窓から見学しました。コンテナを積んだトラックが装置の中に進入すると、中でX線が放射され、コンテナ内に不審な物品が隠されていればすぐに発見される仕組みです。
この機械の導入により、これまで2時間を要していた全量取出検査が、コンテナ1本あたり10分程度に短縮されたそうです。輸出入業者にとっても、検査所要時間の短縮は大きなメリットです。

 

バスが次に向かったのは、YCC(Yokohama Port Cargo Center)、平成4年に総工費592億円をかけて設立された、我が国最大の総合保税地域である物流施設です。
ここは保管から荷捌き、流通加工、展示販売、配送等の物流ニーズに対応した機能が整い、国際物流と国内物流の結節点の役割を果たしています。自動車部品やベアリング、化学製品等を輸出する企業のほか、輸入ではワインや家電製品等を取り扱う企業に利用されています。
施設の説明を受けた後、現在は24社が入居するという物流棟の倉庫内部を見学しました。

 

施設の最大の特徴は、全長493.4mの巨大な物流棟の両側に設置されたランプウェイです。
螺旋状に緩やかなカーブを描くランプウェイの直径は、上り側が77m(下り側は61m)もあり、45フィートの大型コンテナトレーラーでも各階への乗り入れが難なく可能です。
倉庫内の荷捌き作業を一通り見学した後、私たちを乗せたバスも下りのランプウェイをゆっくりと走行、C-4コンテナターミナルに到着しました。

 

こちらでは、コンテナターミナルの整備・管理を行う(財)横浜港埠頭公社の萱島様より、施設の概要やコンテナについて説明いただきました。
コンテナには、85%を占める鋼鉄製のドライコンテナのほか、冷凍食品や化学薬品を運ぶ冷凍コンテナ、変わったところでは動物を運ぶオープントップコンテナなど運ばれる物品によっていろいろな種類があり、現在使用されているコンテナのほとんどは中国製だそうです。
当日は、幸運にも全長294メートルの北米航路のコンテナ船が着岸していたので、早朝8時から夜8時頃まで続くというガントリークレーンによるコンテナの積み下ろし作業を、事務棟5階の大きな窓から間近に見ることができました。
ガントリークレーンの迫力は想像以上のもので、その規則正しい動きは参加者の皆さんの視線を集め、室内のあちらこちらでカメラのフラッシュが光ります。
参加された皆さんへのアンケート調査でも、今回の見学コースの中で特に印象に残った場所であったことがうかがえました。

全ての見学を終え、バスは再び出発点の本町通りへ移動、神奈川県庁前で解散となりました。
今回の取材では、私たちの安全で豊かな日常生活がいろいろな職業の人たちの力に支えられていて、港と私たちの暮らしは密接につながっているのだということを、あらためて感じた貴重な体験となりました。

本セミナーは、今年開港150年を迎える横浜港の貿易の歴史にはじまり、国際貿易港としての現在の横浜港が持つ機能と役割について、幅広く皆様にご理解いただけるよう、順序立てて設計したコースでした。輸入許可を得て通関を終えた貨物が、国内の配送ルートに載せられるまでの過程や税関の検査、また、コンテナターミナルでの荷役作業などを実際に見学したことで、日頃のデスクワークのその先のイメージに結びつき、「百聞は一見にしかず」と身をもって感じたという声も数多く寄せられました。
今後も皆さまの実務に役立つ研修コースをご案内してまいりますので、ご意見やご要望などを事務局までお寄せいただけますれば幸いです。